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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青蓮
101
「マダム・エドワルダ」「死者」「眼球譚」「エロティシズムに関する逆説」「エロティシズムと死の魅惑」収録。バタイユはとても興味が惹かれるのですが、難しくて私の頭では理解が及ばず。表題作と「死者」は物語らしい筋はなく、何かの暗喩としてのイメージの連続のように感じました。性と死は深い所で手を結び、スカトロジーは人の尊厳を剥奪し、羞恥から快楽を引きずり出す。そして過剰な快楽は苦痛を生む。生殖を目的としない交接とは何であろう。ある一面から見たら愛の表現なのかもしれないが、私が感じるのはもっと暴力的で根源的なものだ。2016/10/15
Aster
71
表題作、眼球譚加えて死者はそれ自身では難解というよりそれが想起させるイメージとアナロジーあるいは全体の解釈が独立して存在しており、その各幅において境界を融和するための知識というものは後半のエロティシズム論を読まなければ得られないように思えた。 其処では死とエロティシズムが絡めて論じられているが確かに連続性と他者の概念は多用されている割合にははっきりとした輪郭が与えられていない。しかしながらそれらは動的であり、各文脈で読まれてこそ意味を解釈出来る。言葉にする事でエロティシズムが萎えるという考えは大いに同意。2020/06/24
めしいらず
63
「眼球譚」が凄まじい。背徳。倫理を汚す狂態。繋がらぬまま見せつけ合い手淫し合う。我慢に比例して絶頂は昂まる。着衣を残した交合。羞恥のないまぐわいなど味気ない。社会性の欠片が淫らを焚き付ける。社会の陵辱、信仰の冒瀆。丸裸では健康的に過ぎるのだ。ミルクと尿と淫水と血に塗れた男女。翻るシーツに刻印。便器の中で尿に弄ばれる茹で卵。性器に喰われる眼球。むき出しの白目。ピストルの男根性。弾丸の行方に何を見る。死者を汚す、臓物を覗く怖気と背中合わせの慄えるような甘美。死を身近に感じる陶酔境。意識は肉体の疼きに抗えない。2019/07/24
こばまり
55
何名かの読友様が読んでおられたのをきっかけに長年の積読本に着手。途端、官能の暴風雨に放り出される。アンファン・テリブルな「眼球譚」よりも、悲哀漂う「マダム・エトワルダ」の方が心に残りました。続く講演と討論会の再録は私には難解。出直して参ります。2015/08/12
うりぼう
46
ずいぶん前に松丸本舗で購入。「燃えるスカートの少女」と一緒だった。キーブックなんです。どう受け止めていいのか、判らない領域のお話だから重要なのでしょう。排泄すること、何かを出し切ることが、心の浄化、昇華につながるのか。「マダム・エドワルダ」「「死者」「眼球譚」と後の方の作品が読める気がした。限りなく禁忌とされていることに、何のためらいもなく行動することから、連続性が生まれるのか。後の2作品は常に死を意識した感があるが「マダム」はそれをも超越している。私は、比べられるような作品を読んでいないが、再読したい。2011/05/29