内容説明
「見聞する家族は平凡で幸せに思えても、よく話を聞くとどこかに不幸の影が染みのように顔を覗かせている」―友人、知人、そして在日韓国人である著者自身の家族をモデルに、現代の家族の情景を簡潔な筆致で描く、話題の芥川賞作家のエッセイ集。
目次
異母妹の涙
消えた母親
「いいな、複雑な家庭って」
母親の恋人
あんなふたりになれるといいね
ある結婚式
父の墓
六本木の老猫
姉に反抗したとき
泣く母〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
moka
1
家族をテーマにした短編集。1編が3~5頁のため読みやすいが読後感が重い。表からは伺えない、家族内の「不幸」に焦点が絞られている。温度を感じない文章だと思うのは私だけだろうか。65本もの他人の暗い闇を覗いてしまうと、幸せな家族なんていないんじゃないかと思ってしまう。そんなことないはずなのに。どんな家庭にも事情はあるだろうし、それを他人がどうこう言うことでもないしね。そうは思っても、幸せな家族とは何かを考えさせられるような本だった。2012/02/21
dzuka
0
家族の概念にとことん挑む短編集。 これでもかと、押し付けられている家族概念とは異なる家族を描写している。 文学作品というより、後の世の文化人類学のための資料として記されているのではと勘ぐってしまいたくなる。 家族に悩んだら読むべき一冊。婚姻前はやめた方がよいかも。2018/05/05