内容説明
一九三八年に創刊された岩波新書は、それまでの学術・古典を中心とした岩波書店の出版活動に、現代への視点という新たな方向を打ちだしたものであった。以来、赤版、青版、黄版、新赤版と装いを変えながら、二五〇〇冊余を刊行してきた。時代に鋭く切りこんだ話題作をはじめ、定評ある教養書等を生みだしたそのあゆみを概観する。
目次
序章 「新書」の誕生(岩波書店の歴史のなかで;時局のなかで ほか)
1章 「文化建設の一兵卒として」―赤版の時代(中国を知ろう;「日本的」とは何か ほか)
2章 「国民大衆に精神的自立の糧を提供せん」―青版の時代(「戦後」という時代への出発;「日本」の問い直し ほか)
3章 「戦後はすでに終焉を見た」―黄版の時代(曲り角の予感に立って;「生きる場」を求める思索 ほか)
4章 「新世紀につながる時代に対応したい」―新赤版の時代(「個の深み」に根ざす地点から;「戦後」の対象化 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いちはじめ
2
付録に岩波新書総目録がついているのも良いが、この種の記念出版物にありがちな目録のおまけみたいなエッセイ、対談でお茶をにごさず、「岩波新書の歴史」について語った本文がしっかりしているのはさすが2006/06/18
kaizen@名古屋de朝活読書会
1
岩波新書の歴史が分かる。 青版,赤版,黄版。 多すぎてどれから読んだらいいかが分からないところが辛い。 岩波新書以外からも出るといいかもしれない。自分なりの既読一覧を作成中です。http://bit.ly/10CJ7MZ2012/10/05
te_R9
1
日本の新書レーベルでは圧倒的に最古参な岩波新書.その70年余りの歴史を振り返った分厚い本.戦前の赤版から現代の新赤版1000点目までの中から時代を追って目ぼしいタイトルを時勢と共に紹介している.そして,歴代の刊行の辞が載っていて読み比べられるのは良かった.初代の辞はなかなか読み応えあり.ひとつ本書の残念なところは,著者が文系なので理科系のタイトルについてはほんとにサラっとしか紹介されていないことである.2012/02/12
おらひらお
1
2006年初版。赤版→青版→黄版→新赤版の流れと傾向を概観する。取り上げるテーマは一般的に教養→身の回りのことへと変化していると指摘する。ただ、新赤版はあまりに近すぎて歴史的評価がしにくいのではないかと思う。巻末(といっても100p以上ある)の刊行新書一覧をみるとさすがに歴史を感じた。2011/04/07
takao
0
戦前ものもいいかな。2016/02/12