出版社内容情報
先人たちの歴史・文化を刻んだ遺跡が,いま,急速に消えつつある.全面保存された吉野ヶ里遺跡は幸運な例で,そのほとんどは開発の波にのみこまれている.消えゆく遺跡が現代に語りかけるものは何か.保護するしくみをどうすればよいのか.保存に心を砕く市民,自治体職員の姿を描くとともに,歴史的環境のなかで生きるための方策を語る.
内容説明
先人たちの歴史・文化を刻んだ遺跡が、いま、急速に消えつつある。全面保存された吉野ヶ里遺跡は幸運な例で、そのほとんどは開発の波にのみこまれている。消えゆく遺跡が現代に語りかけるものは何か。保護するしくみをどうすればよいのか。保存に心を砕く市民、自治体職員の姿を描くとともに、歴史的環境のなかで生きるための方策を語る。
目次
プロローグ いまなぜ遺跡保存か
1 遺跡保存の危機
2 保存運動と裁判は、いま
3 遺跡保護のしくみ
4 遺跡保存を今後どうしたらよいか
エピローグ 再び、いまなぜ遺跡保存か
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
debehatop
1
戦後開発が進む日本と、その中で破壊されていく遺跡、またそこで遺跡調査にあたる専門家について買かれた本です。遺跡保存のための国の制度はあるものの、うまく機能しておらず、現場の人手不足や資金負担の問題などが発生している現状が綴られています。開発を急ぐために不十分な調査を行うくらいであれば、今は調査せずに盛土保存しておき、後世に任せるという選択肢もあります。発掘した後の遺跡の活用法についても考える必要があります。2021/01/29
くまきん
1
つい最近の静岡の高尾山古墳を巡る、開発と保存のせめぎ合いを見てもいまだに遺跡保存に関しての行政側の意識は日本の高度成長期とあまり変わっていない様に見受けられる。94年にこの本が出版された時と、関連法規と行政の基準が変わっているのかどうかは調べてみないとわからないけれど、先日聞いた八尾市埋蔵文化財センターの方の話ではあまり変化はない様な感じ。2015/08/16
おらひらお
1
1994年初版。久しぶりに読み返す。実際の事例を多く紹介してあり読みやすい内容になっている。文化財保護はこれからどうなるのかかなり心配なところ。民間調査や資格、世界遺産と陵墓の関係等、問題が山積しているので、改訂版を期待したい。2011/02/25