出版社内容情報
『東京物語』をはじめとする作品によりいまや海外においても巨匠の名をほしいままにし,没後三十年をむかえてなおその評価を高めつつある小津.彼が表現しようとしたものは何だったのか.数多くの資料を縦横無尽に駆使して,豊富なエピソードを交えつつ彼の生涯とその知られざる側面に肉薄し,技法を含めた小津映画と個人の本質を解き明かす.
内容説明
『東京物語』をはじめとする作品により今や海外においても巨匠の名をほしいままにし、没後30年を迎えてなおその評価を高めつつある小津。彼が表現しようとしたものは何だったのか。数多くの資料を縦横に駆使して、豊富なエピソードを交えつつ彼の生涯とその知られざる側面に肉薄し、技法を含めた小津映画と小津個人の本質を解き明かす。
目次
第1章 生きる伝説
第2章 芸術のことは自分に従う
第3章 ちょくさい先生
第4章 蓼科、鎌倉、そして大船
第5章 映画には文法はない
第6章 ストーリーのないドラマ
第7章 俺は後でいい
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
71
小津映画は数本しか見ていないのだが妥協を許さずに独自の美学を貫いたこの監督のことを知りたく借りる。伝説的なエピソードや交遊録などが語られている。特に監督の日記や発言からあの独特な作風の考察に感心。技巧的な映画技術を排したのは信念もあったが、単純に機材や予算の問題があったという。また、一流好みであり、評論家狙いの芸術映画監督であると自覚していたという。素人に迎合するつもりもなかったと。この監督の基本書として推薦。蓮見本などはまだ読んでないが、こっちを先に読むべきだろう。その前に映画を全部見ないと。2018/02/15
i-miya
9
2006.05.16 P223 加藤泰の影響で小津注目 山中貞雄の甥 『キューブリック・ミステリー』 スタンリー・キューブリックについて 『メディアの世紀』 オーソン・ウェルズについて 今回、小津安二郎について 織田明(映画製作者)の薦めで本に 1992.12.12あとがき P002 小津神話 ダンディー Audzu 小道具、全部本物 『お早う』 『お茶漬けの味』 本物の社長 『秋日和』 『麦秋』 笠智衆 小津初作『懺悔の刃』以外の全作品に出演 『母を恋はずや』 2006/05/17
テキィ
7
小津はあんまり観ていないけど、面白く読めました。映画会社という枠の中で、自己の芸術性をどこまで追求するかという意味で。2011/03/06
amanon
3
若い時に見ても、全く魅力を感じなかった小津の映画。それが年を経ると共に、魅力を増してくる…その魅力の秘密の一端を知る上で本書はかなり役に立った。あの独特に美意識、一見して退屈極まりない会話に秘められた豊潤な陰影とニュアンス。それがあの時代だったからこそ実現可能だったということが如実に理解できる。また、芸術映画が興行的にも成功を収めていたという事実はまさに驚愕。この頃は大人が大人として振舞えた時代だったのでは?という気にさせられる。後、小津と志賀直哉との交流はにも驚かされた。志賀の作品を読み直したくなった。2018/02/05
yoyogi kazuo
1
小津安二郎についての著者の雑感を集めたものという感じで、まとまった小津安二郎の評伝または作品論としては物足りない。2022/01/10