内容説明
キリスト教化と文明化の名の下に新世界へ乗り込んだスペイン人征服者によるインディオの殺戮と搾取―。残虐非道が日常化した植民地の実態を暴露し、西欧による地理上の諸発見の内実を告発した植民地問題の古典。十全な解説を付した改訳決定版。
目次
インディアスの破壊についての簡潔な報告
エスパニョーラ島について
エスパニョーラ島にかつて存在した諸王国について
サン・フアン島とジャマイカ島について
キューバ島について
ティエラ・フィルメについて
ニカラグア地方について
ヌエバ・エスパーニャについて
グアティマラ地方とその王国について
ヌエバ・エスパーニャ、パヌコ、ハリスコについて
ユカタン王国について
サンタ・マルタ地方について
カルタヘーナ地方について
ペルラス海岸、パリア海岸、トリニダード島について
ユヤパリ川について
ベネスエラ王国について
大陸にあってフロリダと呼ばれる地域の諸地方について
ラ・プラタ川について
ペルーにある数々の広大な王国と地方について
新グラナダ王国について
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
molysk
65
新大陸に渡ったスペインの征服者は、インディオの人々を残酷な手段で虐殺して、その文明を無残に破壊した。忌まわしい悪行をスペイン国王に止めさせるために、修道士ラス・カサスが執筆したのが本報告書である。のちにインディオを保護する新法が制定されるも、入植者の反発のために施行は骨抜きにされる。本書はその凄惨な記述ゆえに、スペイン国内では禁書の扱いとなる一方で、他国では反スペインの機運の醸成に用いられた。人道的見地から執筆された本書が、政治のために恣意的に用いられたという歴史に、人間の業の深さを感じさせる。2023/04/02
s-kozy
55
皆さん、失礼しました。よく見たら読んだのはこっちでした。「コロンブスの新大陸発見からの50年余り、キリスト教化と文明化の名の下に新世界へ乗り込んだスペイン人征服者によるインディオの虐殺と搾取。残虐非道が日常化した植民地の実態を暴露し、西欧による地理上の諸発見の内実を告発した古典。解説には「大航海時代の幕開けからわずか半世紀後、ただひたすら虐げられた人びとの人権を守る目的で書き綴られた稀有な歴史文書」とある。」2015/06/03
かおりんご
51
歴史。この本を読むきっかけは、大東亜戦争。一見繋がりはないですが、植民地支配の実態を知るためといったらよいのでしょうか。日本以外のアジア諸国は、あの当時、ヨーロッパの国々に植民地支配されていました。きっとこの本と同じようなことが、いろんな場所で行われていたはずです。インディアスの話は中南米のことですが、搾取や殺戮が繰り返し行われていたことがよく分かります。目を覆いたくなるような拷問が記載されていました。この報告書は政治的にも利用されていたそうなので、誇張された部分もありますが、読んでいて悲しくなります。2016/03/22
みっぴー
50
タイトル通りの中身です。コンキスタドールは略奪者や殺戮者のイメージが強いが、インディオの人身御供などの残酷な儀式を破壊したという一面もある。しかし当時のスペインやヨーロッパ諸国の時代背景はもとより、ラテンアメリカの風土や風習がまるっきり分からないのでこの一冊のみでは判断しかねる。じゃああんたなんでこんな本読んだか?っていうと、表紙と著者名がカッコいいから。次は航海誌とか読んでみる予定です。2018/04/16
姉勤
43
これは教訓。スペイン人によるインディオ絶滅報告書。人は「正義」という担保があれば、どんな残虐にも非道にも成り、方や無抵抗で殺されたインディオたちもまた、彼らの「正義」としたものに従ったのだ。鳥獣の屠殺以上の行為を人にする酸鼻は現代日本人の想像を絶する。これは数百年前に起こった特殊な事件ではなく、後の人類史は粛々と大量虐殺を刻んでいる。現在、隣国でもジェノサイドは継続中だ。一神教やそこから派生した近代イデオロギーは、人間を悪鬼羅刹に変えるよくできた装置。正義の奴隷たる想像力の欠如が、人を鬼か肉塊に変える。2014/06/27
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