出版社内容情報
健全な身体を作り整えるために行うのが体操なら，魂を活性化させ神の意志との直接的な接触をめざすのが霊操である．イエズス会の創始者イグナチオ・デ・ロヨラ（一四九一頃―一五五六）が，自らの神体験を基に著した，実践的かつ詳細な霊操指南の書．自由と主体性を重んずるこの近代的な修行システムは，現代も多くの人々に実践されている．
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
チェ・ブンブン
24
島田雅彦が授業で、このスピリチュアルエクササイズをこなせば立派なカソリックになれるぜと紹介していた本。硬派な書き方だが、基本妄想訓練だ。妄想レベルを上げるには食事ひとつにも神経を研ぎ澄ますこと。そして、身を懲らしめることも大切だ。流石にカソリックなる気0の俺にはできない業だが、121ページの余分な睡眠を削る話は納得。最近早起きできなくなり3度寝くらいしてるだけに、「身を懲らしめねば」と思った俺でした。2013/11/16
きゃんたか
23
霊の体操、即ち霊操である。福音の真髄を究めたイエズス会創始者による霊性修養プログラム。著者は受講者の心理を知悉しており、直接的に罪を指摘せず、有らん限りの想像を駆使して間接的に悪霊の浄化を促す。罪の自覚から始まり、キリストの死と復活に共に与る福音戦士への改心トレーニングは、ザビエル然り、世界的福音宣教の原動力となった。清浄な天使が一つの罪で堕落する様を想像させたり、この身がいずれ腐臭を放って朽ちて行く様を想像させたりと、「異化」なるものの導入が中々にえげつない。そこまでしないと人の心は変わらないのだろう。2017/01/05
evifrei
19
キリスト教の精神的修行である『霊操』の指導書。観想の具体的なやり方や、起臥寝食の全てを神との合一のための途とする事を示す。最後の審判が今日だと想像して良き聖徒であれる様に修行できたか、財産の管理は適切に行えているかの反省を促す等、精神面での指導はかなり生きる人間に寄り添う内容だ。何時に起きるかを決めるだけではなく、何のために起きるかを考えるといった徹底振りには頭が下がる。霊操は日本人には馴染みの無い行いであるが、その点は禅との相似点を指摘するなど解りやすくイメージ出来る様に解説でアシストされている。2020/07/12
OKKO （o▽n）v 終活中
10
【修論提出記念読了登録祭り】 イグナチウス・デ・ロヨラによるイエズス会士としての精神修養の書。体の鍛錬は体操で、心の鍛錬は霊操で ◆論文の指導教官が当初「これがどうもアヤシイ」とにらんだため急遽読んではみるものの……わっかんねーwwww 内容もさることながら、先生がどこに何をかぎつけたのかもよくわからん。今回はイエズス会の思想内容にほぼ踏み込めなかったが、今後はそこをやっつけないと先には進めない。ひるまず行こう ◆それにしてもこの人たちの「瞑想」はわたくし含む仏教徒のそれとは全く違うということはわかった2019/01/18
singoito2
8
いつか読みたいと思っていた本。あえて今風に言うなら、霊的トレーニング＆コーチング・マニュアル。方法的にはイエスの生涯についてのイメージトレーニングと自己省察に関するPDCA。善悪二元論がちょっと気になるけれど、実践すれば立派なトレーニングになると思います。こんな立派なもの出なくても良いから、教会の中で霊的な切磋琢磨が少しでもあるだけで、信徒と教会の顔つきが変わってくるんだろうなぁ、と思いました。2022/03/25
