出版社内容情報
エジプトで迫害を受けていたイスラエルの民は,モーセに率いられ,神に導かれてその地をのがれシナイの野に至る.旧約の中心的な書であり,同時に“モーセの生い立ち”や“十戒”等々によって我々に馴染深い書でもある.本文庫版の旧約各書は『創世記』以下厳密な訳文と訳者多年の研究成果を凝集した詳細な注釈,解説を特色とする.
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
58
父の蔵書。読んで、思ったのが「契約させるためとはいえ、えげつない・・・」でした。エジプト王の心を頑なにさせているのは神様自身でしたという所に驚愕。それを踏まえるとモーセに謝らない様にしてから、次々とエジプト人へ降り掛けた災厄の数々に「もう、止めてあげてよ!!」と言いたくなる。エヴァQの予告で流れた『巨神兵、東京に現る』にも「恐れこそ、神の本質だからこそ、人々は祈り、拝むのだ」と言っていたのも納得する理不尽さ。しかも奴隷やエジプト人に対して中々、差別的。2015/01/05
syaori
50
『創世記』の最後でエジプトにやってきたヤコブの裔は大いに増え、これを脅威に感じた王により苦役を強いられることに。苦しむ「彼らの叫びを聞いた」神ヤハウェがモーセに呼びかけ、海を割っての大脱出が始まります。今回感じたのは、これは「万国民の中から」ヤハウェがイスラエルの民を選ぶ物語であり、同時に一つの民族が万の神の中からヤハウェを選ぶ物語でもあるのだということ。「旧約の中心的な書」とありましたがそれも納得。創世記では名を知らせなかったヤハウェは本書で名乗りを上げ、唯一の神として一つの民族と契約を交わすのだから。2018/06/25
絹恵
33
契約を成立させるように、更に契約を重ねるとその内容は多岐に渡り、より細やかになっていきました。それゆえ契約者は人間だけではなく、神もまたその対象となります。それでも契約という平等な行為で神に迫っても、代償を払ったり被害を受けるのは人間のほうなのだから、埋まらない神と人間の差もまた契約の上で世界が成立していることを現しているのだと思います。2017/10/16
めんま
22
奴隷となっていたイスラエルの民を導いてエジプトからの脱出を試みるモーセの有名なエピソードを中心として、祭儀・立法面における神との契約を叙述している。前者は面白く読めるが、後者は学問的もしくは宗教的な興味がないと読み進めるのが辛い。2021/07/23
Gotoran
22
「創世記」に続く、旧約聖書第2の書(本書)。虐げられていたイスラエルの子ら(ユダヤ人)を率いて、モーセがエジプトから脱出する物語が描かれている(1エジプト人の圧制~55幕屋の設立)。有名な海が割れる場面や十戒などが登場し、(イスラエルの子らの)エジプト脱出とシナイ山でのヤㇵウェ(神)とイスラエルの子ら(民)との契約が主題。 「創世記」「ヨブ記」に続き、旧約は3書目、若干慣れたこともあり、左程読み辛さを感じることなくスムーズに読め、内容も把握でき満足。次は幾つかの新約を読んで行きたい。2013/01/06