出版社内容情報
人間は立派な者として生まれるが,社会が彼を堕落させる,という根本命題に立って人間形成における自然思想を展開した著作.理想的な家庭教師がエミールという平凡な人間を,誕生から結婚まで,自然という偉大な師に従っていかに導いてゆくかを,結婚相手となるソフィアの教育をも加えて,小説形式で述べた教育思想史上不朽の古典.
内容説明
「万物をつくる者の手をはなれるときすべてはよいものであるが、人間の手にうつるとすべてが悪くなる」という冒頭の言葉が示すように、ルソー(1712‐78)一流の自然礼讃、人為排斥の哲学を教育論として展開した書。ある教師がエミールという一人の平凡な人間を、誕生から結婚まで、自然という偉大な教師の指示に従って、いかに導いてゆくかを小説の形式で述べてゆく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
241
『エミール』は、著者ルソーが架空少年"エミール"を設定し、この少年を立派な青年へと育つように教育することで、ルソーの教育論を展開した作品。本書(上巻)は、エミールの誕生~ローティーンまでをカバーしている。ルソーと聞くと『社会契約論』や『人間不平等起源論』を代表作品と挙げる方が多いと思う。でも個人的には、『エミール』こそが最高傑作ではないかと思う。ルソーは17~18世紀のフランスあって、ヴォルテール、モンテスキューとともに啓蒙思想の牽引役だった。2018/09/09
びす男
57
「人間の教育は誕生とともにはじまる。話をするまえに、人の言うことを聞きわけるまえに、人間はすでに学びはじめている」。ルソーの思想がすべて詰まった大著。エミールという凡庸な子どもを教育するという想定で、ルソーの教育論が展開されている。『人間不平等起原論』でも見たように、ルソーには「自然は良いものだが、人間がそれを堕落させる」という発想がある。なるべく自然の通りに育て、人為的なものをエミールに植え込まないようにしている。一人の子どもの成長を見守るような気持ちになる、不思議な本だ。中下巻を読んで書評かきます。2015/01/26
i-miya
56
2013.11.25(11/25)(再読)ルソー著。 11/25 (カバー) ルソー一流の自然礼賛、ルソー(1712-1778)、人為排斥の哲学を教育論として展開した本書。 ある教師が、エミールという平凡な人間を誕生から結婚まで、自然という偉大な教師に従い導く小説形式。 「万物を作る者の手を離れるとき、全てはよいものであるが、人の手に移ると、全てが悪くなる」 2013/11/25
i-miya
56
2011.01.05- (表書) (万物をつくる者の手をはなれるとき、すべてはよいものであるが、人間の手にうつると全てがわるくなる」ルソー(1712-1778)一流の自然礼賛、人間排斥の哲学を教育論として展開した本書。エミールという一人の平凡な人間。その誕生から結婚まで、自然という偉大な教師の指示に従い、いかに導いていくか。この本、私、2001.06に買うた、とメモある(i-miya)。2011/01/05
i-miya
55
2014.02.16(01/25)(つづき)ルソー著。 02/15 (P010) ルソー、生まれてすぐに母の死、少年時代父と別れた。 ルソーは正規の教育も受けていない。 ルソーは、放浪と不安定な生活。その後、ルソーはようやく成人となる。 ルソーは『エミール』のうちい自分の夢を描いていたといえる。 エミールの先生は、ルソー自身だが、生徒エミールもこうであって欲しかったルソー自身である、といえる。 2014/02/16