出版社内容情報
フランス革命の時代,既成の権威に屈せず生きたベートーヴェン(一七七〇‐一八二七)――その音楽の発展過程を浮彫りにすべく編まれた本書簡集は,また栄光と悲惨が交錯する生涯を髣髴と浮び上がらせる類いまれなる人間記録でもある.厳選された書簡と最新の研究成果を盛りこんだ懇切な解説からなる「ベートーヴェン書簡集」の新編決定版.
内容説明
世俗的名声に対する悔恨と自省、経済的困窮と慢性化する病気、宗教的主題への開眼と「ミサ・ソレニムス」「第九」の完成等、栄光と悲惨が交錯するベートーヴェンの後半生が、下巻に収められた33通の書簡によって明らかにされる。巻末に、最新の研究成果を盛り込んだ解説と人名索引・作品索引・作品年譜を付す。
目次
フランツ・ブルンスヴィック伯爵
ゲオルク・フリートリッヒ・トライチュケ
ヨーハン・ネポムック・カンカ博士
アンナ・マリー・エルデッディ伯爵夫人
ドロテア・フォン・エルトマン男爵夫人
ナネッテ・シュトライハー夫人
カルル・チェルニー
ヴィンチェンツ・ハウシュカ
フェルディナント・リース
ルードルフ大公〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kano Ts
3
神田の古本市で上下合わせて300円!しかも状態も悪くはない。すぐに買いました。これを「音楽ノート」の前に読んだ方が良かったね。向こうが補完的な内容だから、こっちを先に読んでおいた方が理解がしやすい。耳が聞こえなかったことで逆に資料が残っていて、現代の僕等が見ることが出来るのかもと考えると、ベートーヴェンには悪いけれども資料的な価値としてありがたいとも思ってしまう。いつか「会話帳」も見てみたいなぁ。和訳ででているのかな。2023/11/08
ma_non_troppo
2
後期作品の幕開けを飾る美しいピアノ・ソナタ28番は、かつてベートーヴェンのピアノの弟子だったドロテア・エルトマン男爵夫人に献呈された。ベートーヴェンは一流のピアニストでもあったのだが、聾疾の悪化に伴い演奏会を開かなくなった。しかしごくまれに人前でピアノを弾くこともあった。たとえばエルトマン男爵夫人が子どもを亡くしたときだ。彼は男爵家に訪れるとピアノの前に座り、「今日は音楽で話をしましょう」と伝えると、一時間も語りかけるようにピアノを弾いた。ときとして音楽は、言葉よりも深く雄弁に傷ついた魂のうちへ染み込む。2011/09/21
rs
0
『自由と進歩のみが、総ての偉大な創造におけると同様に芸術の世界の目的であります。』7.27.18192016/07/24
meirokun
0
「自由と進歩のみが、総ての偉大な創造におけると同様に芸術の世界の目的であります」(p.236)2012/02/10