出版社内容情報
日本における仏教のほとんどは大乗仏教であり，「般若心経」はその根本思想である空の理法を説いたもの．また「金剛般若経」は古来より広く読誦されてきた大般若経典のなかの代表的な教典である．本書は玄奘の漢訳とその読み下し文およびサンスクリット原典からの現代語訳を対象させて収め，一般読者の便をはかった．
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな（灯れ松明の火）
53
祖母が四国巡礼で所有していたものを読んだことがありましたが、ちんぷんかんぷんで分からなかった。現代語訳もあるととても分かりやすかったです。唱えると音楽的な『般若心経』って事象に対する問答だったのね…『金剛般若経』は仏教の「愛別離苦」、事象への愛情や自尊心、名誉心によって執着を抱くことが往生を妨げることを示唆する。なぜなら全ては移ろい、永劫に続くものなどないものだから。そして全てを受け入れることは楽だ。だが自分の「芯」を持たずに事象を受け入れるだけになってしまったら「人間」として生きていないことになるのでは2014/09/10
姉勤
46
否定。否定、否定、そのまた否定。否定の否定。否定も否定。般若心経は、量子論や宇宙論を連想させる。物質とエネルギーの分かれ目、インフレーション宇宙、”0”と云っても、プラスの無限大とマイナスの無限大が釣り合っての…何を言ってるのか？何も言ってないと云っている。冗談はさておき、「般若心経」と「金剛般若経」の、漢訳文 書き下し文 現代語訳文に註のセット。初読では、娑婆の善男善女にはハードルが高いと思われます。考えるな感じろって事でしょうか。2015/04/03
スプーン
39
再読していくと見えてくるメッセージ。「何も心配することは無い。所詮この世は無なのだから。精一杯生き、精一杯死になさい。何も心配することは無い。」2019/05/04
スプーン
38
「如来に学べ」「如来を手本とせよ」との二経典。それゆえ、「自己を捨てよ（如来は自己を捨てているから）」、「すべてを捨てよ（如来はすべてを捨てているから）」となる。ゆえにすべては「無」なのである。2019/04/16
紫陽花と雨
32
西遊記でも有名な玄奘三蔵の漢訳とサンスクリット語訳を見開きで読んでいくと少し違いがあって面白い。日本人は名前は知っているであろう「般若心経」仏典が漢訳はあっても日本の言葉で伝えられていないと言う訳者の言葉に激しく頷く。そう！なんの話ししてるのアレ！気になって読んでみたら仏陀の弟子サーリプッタへの語り、なるほどなあ。もう1つの金剛般若経は今昔物語に出てきた鳩摩羅什の訳で仏陀の弟子スブーティに仏陀が「これはどうか？どう思うか？」「こう思います！」「そのとおりだ(如是)」を延々と話していた。哲学だなあ。2021/04/13
