出版社内容情報
天下国家の政治もその根本は一身の修養にあることを説く『大学』.人間の本性とは何かを論じ,「誠」の哲学を説く『中庸』.朱子によって『論語』『孟子』とともに四書の1つとされた儒教の代表的な経典.本書では,朱子以前の古い読み方を探求して,両書の本来の意味を明らかにすることを主眼とした.朱子の『大学章句』等を併収.
内容説明
天下国家の政治もその根本は一身の修養にあることを説く『大学』。人間の本性とは何かを論じ、「誠」の哲学を説く『中庸』。朱子によって『論語』『孟子』とともに四書の一つとされた儒教の代表的な経典。本書では、朱子以前の古い読み方を探求して、両書の本来の意味を明らかにすることを主眼とした。朱子の『大学章句』等を併収。
目次
大学
中庸
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かわうそ
50
『下位に在りて上に獲られざれば、民は得て治むべからず。上に獲らるるに道あり、朋友に信ぜられざれば、上に獲られず。朋友に信ぜらるるに道あり、親に順ならざれば、朋友に信ぜられず。親に順なるに道あり、諸れを身に反りみて誠ならざれば、親に順ならず。身を誠にするに道あり、善に明らかならざれば、身に誠ならず。』P199 それ故に知と仁は二であると同時に一であることになるわけでこれが自然も多であると同時に一であることと重なっているのです。また、天の地平となるものが誠であり誠を地上において実現するのが人の道だといいます。2023/03/12
ミッキー・ダック
32
儒学で重要な「四書」のうちの二つ。共に「修己治人」=「人を治める前に自分を修めよ」と説く。◆原文・読み下し文も朱子訳もあるが、概要を掴むため著者による訳文・解説のみ読む。◆「大学」は、「君子たれ」といういわば入門書的なリーダー育成論。「中庸」は、儒学伝承の総括として、日常倫理・政治哲学=「人の道」は「誠」(=天の道理)を実現するものだと体系化。最後に読むべき書。◆重要なのは、統治者が民衆を思う徳を身に着け、民衆がそれを慕うという構図の平和な国家が目指されていること。今の政治家たちに読ませたい。 2019/06/15
zirou1984
31
儒教の経書の中でも重要な四書五経、そのうち『礼記』の一章を独立させ四書として扱われる『大学』『中庸』。両者とも分量はさほど多くなく、解説がかなり充実しているため論語と合わせて儒教の全体像を俯瞰することが出来る。『大学』は四書の中で最初に読むものとされ、15歳以上の学びは修己治人、善を目指す己の修養を基盤として天下国家は治めるものだと唱えられる。『中庸』は反対に最後に読むものであり、中庸の徳と実践を説きながら天の働きそのものである「誠」への道を目標とする。全体としてプラトンとの類似性が印象的であり要検討。2013/07/11
江口 浩平@教育委員会
30
【古典】田口佳史さんの本を読み、手に取った一冊。金谷治さんの現代語訳を先に読み、該当部分の書き下し文を読み、再び現代語訳を読むという形で咀嚼していった。「大学」では平常心こそが我が身を修め、周囲に影響を及ぼしていく第一歩であることを、「中庸」では人に振舞って欲しいように自らが振舞えているか客観的に自分を見つめ続けることで「誠」を身につけていくことができることをメッセージとして受け取った。ドッグイヤーだらけの本になったため、折を見て読み返していきたい。2018/12/27
荒野の狼
26
大学・中庸ともに平易な現代語訳が、充実した注を伴って解説されており、容易に理解できます。難しい書だと構えて読む必要はありません。両者を合わせても分量は短く通読も容易です。“大学”は己自身を収めて(修己)こそ、人を治める(治人)ことができることを述べており、人の上に立つ人間であれば(親であれ、上司であれ)必読の書と言えます。修己には自分のおもいを誠実にすることが必要で、それは自分で自分をごまかさない、自ら欺くことがない(その独を慎む、慎独)ということであると述べています。2008/02/04