岩波文庫<br> マリー・アントワネット〈下〉

岩波文庫
マリー・アントワネット〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 382p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003243725
  • NDC分類 943
  • Cコード C0197

出版社内容情報

どこといって非凡なところなどない人間に,歴史は大きな役割をふりあてることがある.虚名のみ高く,毀誉褒貶半ばするマリー・アントワネット.作者(一八八一―一九四二)は,その生涯をときに王家の寝所の秘事に,またときに国民議会の緊迫した局面にと巧みな筆運びで追い,一平凡人に凝集する壮大な歴史のドラマを展開する.

内容説明

革命の展開は急速である。王家はチュイルリー宮へ押し込められ、スパイがマリーの身辺にまでうろつく。こうなってみて初めてさとるのだった。自分が王妃として、マリア・テレサの娘として「後世という持続的な不屈なまなざし」の前に立たされたのだと。また圧倒的な力に押しつぶされぬためには、どうしても偉大でなければならぬのだと。

目次

フェルセンは何者であったか
ヴェルサイユ最後の夜
王政の霊柩車
自省
ミラボー
脱走の準備
ヴァレンヌへの逃走
ヴァレンヌの夜
心ならぬ還幸
だまし合い
盟友最後の登場〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

80
マリー・アントワネットの処刑間近までに触れることができました。丁寧に描いていると感じます。フェルセンとの関係のみならず、獄中での生活など興味深いことばかりでした。革命は急速に進むのですね。2019/09/01

detu

32
"平然と誰の手も借りないで、(略)断頭台の階段をのぼって行く"読んでいて圧巻だった。アントワネットは幽閉された時点ですでに覚悟を決めていた。"毅然として自己を弁護し、自若として死ぬ"ことを。世界中に認知されているマリーアントワネットを今さら語るのもおこがましいです。本書は伝記ですが、どんなフィクションよりもドラマチック。そして18世紀後半の欧州情勢やフランス革命の詳細を知るに充分勉強になりました。歴史上必要とされる人物がしばしばいるように思う。裁判の答弁は読みごたえ充分、王妃として凛として、頭脳明晰。2019/10/08

ロッキー

25
フランス革命が起こり、マリー・アントワネットは囚われの身となり幽閉される。そして地位も名誉も家族も失い自分というものを発見する。「不幸の中にあって初めて、自分の何者たるかが分かります」と。牢獄コンシュルジェリーから断頭台までの間を読んでいて既に気づいている。この女性は決して平凡な人物でないことを。厳しい試練が高貴な女性へと目覚めさせたのでしょうか。裁判へは毅然とした態度で臨み勝利をおさめ、そして断頭台へ向かう直前まで王家としての誇りを失うことなくこの世を去った。まさに天国と地獄を味わった生涯でした。2012/02/05

きゃれら

24
上巻の前半では甘やかされたまま育っていきなり最高権力者になった主人公のどうしようもなさにうんざりさせられるが、いったん革命の渦に巻き込まれるといきなり誇り高い貴族として闘う彼女に感情移入させられる。最後は世界中を敵としてくじけず雄々しく前進を続ける姿に自然に感動せざるをえない。ツヴァイクさんがあまりにも巧みなのだと思うけれど、読後感としては、こんなに立派な人とは知らなかった、である。フランス人には書けない物語なのかな、いろんな意味で。革命ってこんなにも恥ずかしいものなのか。2022/06/21

シルク

15
「私たちはあまりに怖いもの、あまりにたくさんの血を見てきましたので、とてもこれから先幸福になるなどできるものではありません。」(p.62) ただ最終的に飛び掛かってこないだけの民衆。馬車の窓の外、憎悪に燃える目が何百、何千と自分を刺す。焼けつく暑さの中、蒸し風呂のような馬車にて、来た時の数倍の時間をかけて引きずられていく。「私たちはあまりに怖いもの、あまりにたくさんの血を見てきましたので」……だけどそれは始まりに過ぎなかったのだ。こんなに不必要に執拗に、いたぶられた人が他にあったのだろうか? と、思う。 2017/11/26

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