出版社内容情報
スティーヴンスンは1891年,南洋のサモアに渡った.そこは片々たる一孤島,鬱蒼たる森林に蔽われ,オレンジが実り,大こうもりがとび,20フィートの飛瀑があり,朽木には青い燐光が発し,原地の人びとは「魔女の足跡」といった.その風物の中に生れる物語を彼の幻想的詩情と海への情熱でまとめたのがこの一篇である.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
qoop
6
南洋奇譚を三遍収録。南太平洋のとある島で繰り広げられる不良白人同士の抗争を書いた〈ファレサァの濱〉は、南洋とその住民への偏見に彩られながらも基調にヒューマニズムが感じられる。同地に移住した著者から見た白人と現地人の姿が反映されているのだろう。〈瓶の妖鬼〉は願いを叶える小瓶の魔神というランプの精の亜種を扱った物語で、道徳譚的な読み心地ながらニヤリとさせるラストが効果的な一編。〈聲のする島〉は魔法使いの婿の冒険譚だが、冒険を通じても成長しないのが好ましい。2018/03/09
司書見習い
2
南海の島で西洋人同士が諍いを起こす『ファレサアの濱』、願い事を叶える瓶にまつわる教訓譚めいた『瓶の妖気』、魔術師の義父によって冒険に出される『聲のする島』の三本。三本目が一番好み。2019/01/26
まどの一哉
1
この文庫本の初版は1950年ながら、中村徳三郎の訳はまったく古くなっていない。 スティーヴンスンは私の大好きな作家で、ロンドンが舞台の「自殺クラブ」「ジキル博士とハイド氏」や南海が舞台の「宝島」「引き潮」など。どれをとっても面白い。文庫解説文中のゴールズワージーの論評(1928年)が的を射ているので引用する。2019/08/16
ひでお
1
「宝島」で知られるスティーブンスンの小説。童話というには大人向けで、冒険要素もあるけれど、最後には心温まるエンディングになるお話。。3作ともに太平洋の島々を舞台にした作品。この中で「瓶の妖鬼」は以前にも読んだことがあるはずなのに、どこで読んだか思い出せない。「ファレサアの浜」は現地妻を迎える主人公の行動など、現代の規範からすると少しどうかと思うところもあるけれど、著者自身がサモアで書いた作品でもあり、決して原住民を見下していたわけではないのでしょう。人種を超えた愛情の物語でもあります。2017/08/31
湯豆腐
0
「ファレサアの浜」は帝国内での異文化遭遇が言語体験を通じて描かれている、ということが全く伝わらない訳。それも含めて越境を感じる言語体験。https://note.com/utagawa8/n/n5c79fcd6e1512020/05/21
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