出版社内容情報
正確,平明な訳と,周到,懇切な注・解説・索引,決定版として定評ある本全集を,多くの御要望に応えて,ここに再刊いたします.人間や自然についてさまざまな問題が山積し,生き方や価値観が問い直されている今日,日常語による対話をもって,思想や生活のあらゆる領域にわたり,根源に至る思考をめぐらしたプラトンの著作は,われわれに豊かなインスピレーションを与えてくれるはずです.〈第5次刊行〉
目次
パルメニデス
ピレボス
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Gokkey
9
プラトンの作品は読む順番がとても大切であるという事をあらためて認識した。パルメニデスはおそらく分析的な思考が目立つポリティコスの前の作品であり、饗宴やパイドンよりも後の正に過渡期の作品であるのだろう。作品が後期に行くに従い、存在の論理学というかアリストテレス的な形而上学の基礎を形作りながら、体験に依存する元来のイデア論からは離れる。本作品はパルメニデスによるイデア批判に答え、ゼノンのパラドックスに挑み、ヘラクレイトスのテーゼも念頭に置いて「あり、かつ、ない」とはどういう事か、思考を深めていく。2022/09/20
いとう・しんご
8
「パルメニデスーイデアについて」と「ピレボスー快楽について」収録。前者はまず「飛ぶ矢は止まっている」で有名なゼノンが若きソクラテスとの問答します、そのあとは、ゼノンの師匠の老パルメニデスが一方的に対話をリードします。述定できない「一」を置いた上で「在る、有る」と述定すれば矛盾が生じるし、様々な述定を試みても、どれも皆、矛盾するという蒟蒻問答で、でも「一」のほかに何を主張するというわけでもないので読んでて飽きてきました。「ピレボス」もややそれに近い展開で、快楽と知識のいずれが善に近いか、というお話でした。2024/05/15
てれまこし
3
無の思想が理解できんのは、有の哲学をよく理解してないからだと気づいて、辿って行ったらパルメニデスに行き着いた。詩の断片を読んでもよくわからんので、プラトン先生の対話に期待したんだが、余計にわからなくなった。自分は神学論争には興味はないんだが、昨今社会科学の分野でも存在論がやかましい。ヨーロッパ中心主義でない社会科学理論なんてものが可能なのか、どうも哲学と科学的方法論が結び付かない。多様性を無条件に受け入れるだけでは学問自体がなりたたなくなる。有がダメだから無の思想だ、以上のものが果してあるのか教えてくれ。2018/07/26
karatte
3
高田馬場の古本屋にて1500円で購入。読了日は判らないので適当に。プラトンの著作中類を見ない二部構成にして、八面六臂の活躍を見せていたあのソクラテスがほぼ脇役に徹するという意味でも異例の『パルメニデス』は、イデア論の一大転換期を成す最重要作品。パルメニデス、ゼノン、ソクラテスらによる夢の共演は山風に通じ(むろん言い過ぎだが)、否定神学への道を拓いた言語ゲームの妙もある。故・藤沢令夫氏をして「ルール違反」とまで言わしめたパルメニデスの手練手管に酔いしれよ!2003/01/01
Yoshi
2
パルメニデスは圧巻だった、ハイデガーを読んだ時に感じる腹の中を抉られるような論理の大本はこの人だったのかと。 あるものはあり、あらぬものはあらぬ。全てはその1つである、という存在論の元祖で初期のイデア論を粉砕し存在論の深淵な論理を展開する。 ヒレボスでは知識と快楽どちらが優れているかから知識と快楽を詳細に分解する。 知識の話はテアイテトスでも扱われていたが、快楽の分類が秀逸で、アリストテレスのいう悲劇は悲しみや哀れみを土台にした解放ならプラトンは喜劇は嫉妬を土台にした解放という喜劇論も面白かった。2020/07/10
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