内容説明
9.11の衝撃と加速するグローバリゼーションの中で、世界はますます流動的になり不安定さをましている。混迷の度を深めるテロ後の世界をどう捉え、どう行動すればよいのか。ボードリヤールは、暴力のもつ意味を独自の深い分析で抉り出し、モランは、極めて広い視野で現代世界の本質に迫っていく。現代フランスを代表する思想家による刺激的かつ根源的な問題提起。
目次
世界の暴力(ジャン・ボードリヤール)
世界危機のさなかにあって(エドガール・モラン)
著者等紹介
宇京頼三[ウキョウライゾウ]
1945年生まれ。九州大学大学院修士課程修了。現在、三重大学人文学部教授。フランス文学・独仏文化論
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感想・レビュー
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Ecriture
6
『象徴交換と死』、『湾岸戦争は起こらなかった』、『パワー・インフェルノ』と合わせて読むとボードリヤール流のテロル観がよくわかります。アメリカ文学関係者は『アメリカ』を足せばおっけぃ。テロが象徴的意味を獲得する過程がいかに不可能なものであるか、不可能なはずなのにどうしてそこから象徴性が獲得されてしまうのか。いい本です。2010/09/10
hikarunoir
5
元々アメリカ消費文明にWTCから否定的ニュアンスを受信していただけあって、真っ先に講演に呼ばれた発言採録。注釈の方が多く入門には全く向かず。2022/08/30
ボルボックス
1
面白かった。特に最後、訳者あとがきでのボードリヤールからの引用「アメリカ人はシュミレーションに対する感覚がない」というところ。 実はそれが自己内部から発生する癌のような現象、テラーを発生させていることにつながっているのかもしれないと思うと考えさせられる。2016/10/02
N.river
1
全てに値段を付けた資本主義、そのぶり返しは必ず来るものです、、だったか。そんなくだりがやけに記憶に残って仕方ない。2014/06/09
Hisashi Tokunaga
0
「出来事」って何だろう?本書だけでボードリヤールを理解するのは難解なようだ。2017/02/03