小説から歴史へ―ディケンズ、フロベール、トーマス・マン

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  • サイズ B6判/ページ数 220,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000234009
  • NDC分類 201
  • Cコード C0097

内容説明

歴史学に精神分析的手法を導入し文化の読み直しを進める歴史家P・ゲイ。本書は、文学作品、とくに小説における叙述のあり方を論じることを通して、文学が歴史をどこまで描けるのか、歴史を描く方法はいかにあるべきかを真正面から論じた刺激的考察。文学技法、社会史、伝記、精神分析等の観点を綜合しつつ数多くのリアリズム作品を読み解き、ディケンズ、フロベール、マンの作品がなぜ歴史の捉え方において、また文学的叙述において優れているのかを明らかに。歴史実証主義とは異なる歴史叙述のありかた、意義を積極的に評価する一方で、歴史の復元という考え方を批判する近年のポストモダン的方法を厳しく批判。「典型」を描くことによって、文学にも歴史を叙述することが可能になるとする自らの方法を提示する。リアリズム小説や歴史小説、評伝などの意味を歴史学の立場から取り上げ、歴史叙述の多様な可能性を論じる優れた問題提起の書。

目次

プロローグ―現実原則を越えて
1章 怒れるアナーキスト―『荒涼館』におけるチャールズ・ディケンズ
2章 恐怖症に挑む解剖学者―『ボヴァリー夫人』におけるギュスターヴ・フロベール
3章 反抗的な名門市民―『ブッデンブローク家の人々』におけるトーマス・マン
エピローグ―小説の真実

著者等紹介

ゲイ,ピーター[ゲイ,ピーター][Gay,Peter]
1923年、ベルリンのユダヤ人家庭の生まれ。フロイトの精神分析の手法を導入し、文化の読み直しを進めてきたアメリカを代表する歴史学者の一人。歴史のみならず、文学、美術、音楽、政治学、哲学等にも造詣が深い。1955年‐69年、コロンビア大学で、1969年‐93年、イェール大学で教鞭を執る。93年、イェール大学名誉優秀教授となる。97年、ニューヨーク公立図書館リサーチセンターの初代所長に就任、現在に至る。著書は、啓蒙主義、一九世紀ブルジョワジーの経験、モダニズム文化、歴史学、フロイトに関するもの等多数

金子幸男[カネコユキオ]
1958年、神奈川県生まれ。京都大学大学院修士課程終了(イギリス文学専攻)。現在、西南学院大学英文学科助教授。専門は、19世紀イギリス小説・文化
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