出版社内容情報
コロンブスが創めた事業に挑戦する新世界と,受けて立つヨーロッパ.この応答劇がはらむ今日的問題を選び抜かれた作品の群れが鮮やかに語り出す.ここに大航海時代の群像は我らが同時代人となる.作品の大半が本邦初訳.
内容説明
「新世界」インディアスの発見者から被壊者へと転落してゆくコロンブスを、彼の同時代人が、きびしく糺す、異色の「コロンブス伝」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
自然堂
1
本書はラス・カサスの著書、「インディアス史」の中からコロンに関する部分を抜粋、抄訳し、コロンの発見者としての正の部分を描く事で新世界の輝きや正当性を、また、探索の過程で暴虐者と化してゆくコロンを描く事で、植民体制の中で利をあげていたかつてのラス・カサス自身の内省、延いては同時代のヨーロッパやキリスト教的価値観の欠陥を描き出したものである。ラス・カサスの著書はとても思想的であり、その個性の強さからそこで語られる事象の好悪のみが語られる事が多いが、一歩引いた視点で見ると今日的な問題を考えるヒントに溢れている。2012/03/11