内容説明
主権的利益の調整から私権の実現過程へ
外国判決の承認執行制度は「外国裁判所が介在した私権の実現過程」であると捉え直し、比較法的手法も用いながら、繊細かつ明確に解き明かす。外国判決承認制度の歴史的概観からその承認要件・効果、2つのハーグ条約と日本法の対比、時効の完成猶予の問題、国際民事執行に関する総論的問題まで扱う。好評を博した前著『外国判決の承認』に執行の側面を追加して改版した無二の研究書。民事訴訟法、国際民事手続法、国際私法、渉外法務に関心をもつ研究者・実務家にとって、理論と実務の双方に資する一冊。
目次
はしがき
第1部 総論
第1章 序論
第2章 わが国における外国判決承認制度の歴史的概観
第2部 要件論
第1章 間接的一般管轄
第2章 送達
第3章 公序
第4章 外国判決承認要件としての相互保証
第3部 効果論
第1章 外国判決の効力――総論的考察
第2章 外国判決不承認による不当利得――国際司法摩擦との相克
第3章 訴え却下判決の国際的効力――国際裁判管轄を否定した外国判決の効力をめぐって
第3章 補論 訴え却下判決の既判力をめぐる国内訴訟法の議論との関係
第4部 ハーグ条約との関係
ハーグ管轄合意条約およびハーグ判決条約の意義と日本の批准の可能性
第5部 法律要件的効力
外国での訴え提起と消滅時効の中断
第6部 外国判決の執行
第1章 執行行為の属地性と国際的効力
第2章 執行判決訴訟の法的性質について
第3章 執行判決訴訟の訴訟物と既判力の客観的範囲
第7部 まとめ



