内容説明
フロイト、カネッティ、ウィトゲンシュタイン一家に迫る危機
1938年2月、ヒトラーの山荘ではオーストリア首相シュシュニクとの緊迫したやりとりが行われていた。
その後の、オーストリア独立を問う国民投票の挫折とナチスによる武力侵攻……。
ナチス・ドイツによる侵攻により、ウィーンの芸術文化はどのようにして崩壊していったのか。
独立を守ろうとする首相たちや、文化人や芸術家の抵抗や亡命を軸に、芸術都市ウィーンの緊迫した日々を描く注目作。
目次
序章 一九三八年の「輪舞」
第一章 オーストリア併合への道
一 ハプスブルク帝国からシュシュニク政権まで
二 ベルヒテスガーデン会談
三 シュシュニクの抵抗
第二章 併合(前夜の芸術家たち
一 ワルターとオペラ『ダリボル』
二 ヴェルフェル夫妻の愛憎
三 カネッティ夫妻の精神不安
第三章 オーストリアの一番長い日
第四章 ヒトラーのウィーン
一 挫折の街
二 勝利の街
三 暗黒の街
第五章 ヒトラー支配下の文化生活
一 フロイト一家の脱出
二 ウィトゲンシュタイン家の姉弟喧嘩
三 ヴェルフェル夫妻のピレネー越え
終章 それぞれの一九四五年
人名索引
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MUNEKAZ
12
ナチス・ドイツによるオーストリア併合の顛末を描いた一冊。著者は「輪舞」を掲げ、単なる事実の羅列ではなくアンシュルスに関わった政治家、それに影響された文化人らの視点を巧みに交えることで、群像劇としても読める内容になっている。併合を避けようと奮闘する者、ナチスの下でもオーストリアの自律を信じる者、そして正常性バイアスから逃げ遅れる者。危機を前にした人間模様は面白く、必要以上に重くならない著者の筆致も良い。ナチスの最初の被害者にして共犯者でもあるオーストリアの転換点をよく理解できる良書。2025/04/02
省事
5
1938年のナチス・ドイツによるオーストリア併合(アンシュルス)の展開と、その瞬間のウィーンの政治家、芸術家たちの人間関係の連なりを「輪舞」をモチーフに描いた読み物。生真面目なシュシュニク首相を軸に、彼が直面したアンシュルスへの政治過程、彼とも面識あるワルター、フロイト、カネッティ、アルマ・マーラー(グスタフ・マーラー未亡人)、ヴィトゲンシュタイン一家らの様子がパラレルに描かれる。ある章のタイトルでもある「オーストリアの一番長い日」が活き活きと描かれた、政治史かつ群像劇として楽しめる一冊。2024/11/15
Go Extreme
1
1938年の輪舞: ウィーンーアルトゥア・シュニッツラー戯曲『輪舞』 アンシュルス オーストリア併合への道: ハプスブルク帝国→シュシュニク政権 ベルヒテスガーデン会談 シュシュニクの抵抗 併合前夜の芸術家たち: ワルターとオペラ『ダリボル』 ヴェルフェル夫妻の愛憎 カネッティ夫妻の精神不安 オーストリアの一番長い日: ヒトラーのウィーン: 挫折の街 勝利の街 暗黒の街 ヒトラー支配下の文化生活: フロイト一家の脱出 ウィトゲンシュタイン家の姉弟喧嘩 ヴェルフェル夫妻のピレネー越え それぞれの一九四五年2024/09/11
オルレアンの聖たぬき
0
1938年のウィーン。政治家と芸術家たち、それぞれの『アンシュルス(合邦)』について、詳しく書かれている。特にアンシュルスを巡るシュシニクとナチス首脳の攻防、『オーストリアの1番長い日』は息を呑む。独立したオーストリアを目指す人々と、『大ドイツ』を夢見た人たちの生涯を描いている。2025/06/12
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