内容説明
一五○年間紡ぎ続けた“志”
明治の工場建築は、いくたびかの消滅の試練を乗り越え、なぜ世界遺産登録に
至ることができたのか。その核心に迫る、渾身のノンフィクション!
建築が永遠に残り続けるためには――
明治の富国強兵・殖産興業政策の先陣を切って、1872年の操業から2014年の世界遺産登録、そして今日まで150年あまりの間、誰がどのようにして富岡製糸場存続の襷をつなぎ、いくたびかの取り壊し案を退けながらこの産業・文化遺産を守ってきたのか。そして、いかにして世界遺産登録の座をかち得たのか?
著者が取材を重ねるにつれ、歴史に埋もれながら、“郷土の誇り” の存続に尽力してきた人々の熱意の連環が徐々に明らかになる。そして薄絹のように透明な“ミッシング・リンク” が少しずつ、しかし確実に“現実”という色を伴ってつながっていく過程が焙り出されてゆく。
世界遺産登録から10周年を迎えるいま、富岡製糸場の「語られざる秘話」の核心に迫る渾身のノンフィクション。
詳細な年表を巻末に掲載。
目次
プロローグ 古武士
1 一人四役
2 熱烈な気迫
3 至誠、神の如し
4 シルク王の執念
5 苦渋の決断
6 生き残りをかけて
7 すべて昔のままに
8 誇りを貫く
9 採択の木槌
エピローグ 片倉に縁がある者です
関連年表
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takao
1
ふむ2024/10/02
史縁
0
工場を維持・管理していた企業や群馬県・富岡市の地元の方々の建物に対する情熱があってこそ富岡製糸場は世界遺産に登録された。この手の本にありがちな世界遺産に登録されめでたしめでたし、で終わらず、今後の維持管理の問題点まで提起される。本を読んで2か月後に富岡製糸場を訪れたが、大雪被害による建物の工事が続いており、この本の問題提起が現実のものであることを思い知らされる。2024/09/12
lonely_jean
0
はっきり言ってしまうと富岡製糸場に特に思い入れはない。それでも、短くはない本書を読み通してしまった。サブタイトルの、受け継がれた情熱、はまさしく著者にも。人を動かすのはやはり、データよりも最後は情熱だろう。建物が残されてよかった。2024/11/09
神田智弘
0
大変な取材力とそこにかけた時間と情熱、建築への愛情と敬意。素晴らしいノンフィクションに出会えたことに感謝しつつ、また、建築への関心が大きく高まりました。地元の良いものを再度見直し、残していきたいと思います。2024/09/10
noririn
0
富岡製糸場が世界遺産に認定されるまで、守り抜いた片倉工場と富岡市を巡る重厚な物語。2024/07/17