内容説明
宮本常一は敗北したのか
ポスト高度経済成長期の日本において、疲弊する離島の人びとに寄り添い、
彼らの自立を促すために奔走した宮本常一の思想や行動は
完全なる敗北だったのか。
たんなる民俗学者ではなく、地方の代弁者として活動した宮本常一の思想の核心に迫る。
柳田国男、南方熊楠、折口信夫と並ぶ民俗学界のビッグネーム―宮本常一。
本書では、斯界の巨人としてではなく、
当時広がっていた地域文化運動を構成する一個人としての宮本に着目し、
行政と地域住民とのあいだを取り持ち、運動を自律的なものへと導こうとした、
メディエーターとしての宮本常一に焦点をあて、
地方の代弁者として活動した宮本常一の思想の核心に迫る。
目次
序章 島の遅れと文化運動
第1章 島をめぐるまなざし-学術・観光・地元
第2章 民俗学と「文化工作」のあいだ-宮本常一イントロダクション
第3章 「離島性」の克服-地域開発をめぐる宮本常一の思想的変遷
第4章 速度と身体性-フィールドワークの移動手段と見える世界の拡張
第5章 博物館と住民参加-「佐渡國小木民俗博物館」にみるローカルな文化運動
第6章 鬼太鼓座と幻の大学構想-日本海からの叛逆
第7章 自前の生活-佐渡空港建設をめぐるデモ・水・自己決定
第8章 三里塚から佐渡へ-ある運動家における民俗学的実践と〈父〉
第9章 モノを介したソーシャルデザイン-美大教員としての宮本常一と民家調査
結論
註
あとがき
参考文献
索引
感想・レビュー
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