内容説明
社会主義国家ベトナム。はたして法の支配は醸成されているのか?
その民法典の制定・変容のプロセスに焦点を当てながら、政治に対する法の意義の変容を考察する、開発法学の好著。
法は、ある国の開発において、どのような意義を持つのか。
開発法学は、法制度が社会改革の道具として用いられることを前提としながらも、その固有の問題意識は政治システムと既存の経済的・社会的組織との相互関係の中で、法規範固有の役割と機能を考察し、政治・経済の発展プロセスにおける形式的制度としての法と道徳や慣習といった既存の非形式的制度との関係を明らかにすることにある。
本書は開発法学の方法論に立脚し、法制度の整備が政治権力の影響を受けつつも、経済発展と相俟って、政治をコントロールし法の支配を実現しようとするプロセスについて、伝統的に政治が法に対して優位性を持ってきた社会主義国における法改革、すなわちベトナム民法典の制定・変容のプロセスに焦点を当てながら、政治に対する法の意義の変容を考察する。
社会主義国として市場経済システムを導入し法改革を進めてきたベトナム。その法制度は「法の支配」を醸成させているといえるのか。
目次
第1章 序論――開発プロセスにおける政治・経済と法
第2章 ドイモイの展開と1995年民法典の成立
第3章 ドイモイの進展と2005年民法典の制定
第4章 世帯に対する規律の変化と2015年民法典の制定
第5章 結語――ベトナム民法典の発展と法の支配(the rule of law)の醸成
資料ほか