内容説明
▲アメリカとの葛藤のなかで進んできた日本近代。その功罪の原因を探究する。
▲アメリカ型の拡張主義的な資本主義の限界を越える「ポスト資本主義」のモデルに日本はなりうるか?
禅、民芸、京都学派、アート、オタク文化など、広範囲にわたる文化事象を参照しながら、日本人の精神史をアメリカとの接触の中でどう変容してきたかをたどり、〈日本的なるもの〉の可能性を精査する。『デカルトからベイトソンへ』の思想家が贈る骨太の日本人論。
目次
序 別の仕方で考えること
第1章:日本的なるもの(1)――禅、工芸、永遠の現在
第2章:日本的なるもの(2)――「甘え」、集団志向、序列
第3章:明治維新とその余波
第4章:戦争と占領
第5章:哲学――京都学派の時代
第6章:『なんとなく、クリスタル』――アメリカ化する日本のディレンマ
第7章:江戸的な現代へ――ポスト資本主義モデルとしての日本?
付録
英語の用語法における問題/禅のリアリティ/禅、倫理、「枢軸時代」/オタク文化――インタ
ビュー
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mc6ρ助
20
知ってることも知らなかったこともガッテン、ガッテンばかりなのだけど、なんで今の日本がこうなのか日本がどこにいるか知りたい人には必読の書だけど、迫真の現状分析のあとに未来への処方箋はない。いや、可能性があるんだって。『今から五十年後に世界が我々のこの時代を振り返り、頭を掻きながら、次のように言ったら、なんとすばらしく、またこの上なく皮肉なことになるのではないだろうか。「この地球上のすべての国のなかで、未来の鍵を握っていのが日本だったなんて、いったい誰が考えただろう?」(p309)』2024/03/22
mikky
12
日本に深く思いを寄せるアメリカ人社会学者によって、日本の根底にある思想と明治以降の近代化によって日本に齎されたものそして戦後日本におけるアメリカの模倣のような消費社会ついて語られています。 まず西洋と日本の近代化について、前者のそれが200年かけて成し遂げられたのに対し、後者はたった数十年のうちに成し遂げたため歪みが生まれ、それが精神疾患のように現代まで尾を引いているという著者の言葉には膝を打ちました。また、戦後の日本が大人になりきれない社会となったというのも、現代を見渡せば一目瞭然という気がします。 2023/11/22
owlsoul
9
閉塞的な空間で人々が連帯し質素に暮らす国、日本。そこで生まれた文化は進歩より探究を、拡張より深耕を求め、「神経症的な美しさ」を帯びていた。しかし、アメリカ的消費文化の急襲で日本人はアイデンティティの危機を迎える。日本的な「空」は、一夜にして商品で埋め尽くされた。しかし、消費文化の虚無にもいち早く気づいた日本人は、処方箋としてのひきこもり現象やオタク文化を生み出す。拡張の限界を迎えつつある消費社会において、著者は日本の「逝きし世の面影」に目を向け、閉塞的な世界で質素、かつ豊かに暮らす文化に未来の可能性を見る2024/12/31
ossan12345
8
「菊と刀」「甘えの構造」から繋がる、日本人のメンタリティ・日本の文化特性の考察を、アウトサイダーの視点から見直す重厚な書。敗戦に至った軸のない思想、非成長・現状維持に価値を見出す国民性など基本的にはよく理解できる、しかし原田曜平氏の言うように、今や一流都市でなくなった「最高にちょうどいい街TOKYO」を擁する日本の若者から、挑戦心や独創心がなくなるおそれがあることは、シンプルにリスクと感じた。マイナスからプラスを生み出してきた日本人の反骨心が、今後も自然と維持されるとはあまり思えない。 2023/04/23
naohumi
6
訳者によれば、さまざまな文化的・歴史的現象から「日本的なるもの」を析出し、その可能性と限界を見極める。との事であった。禅、工芸、甘え、集団思考、序列、明治維新、戦争と占領、哲学、アメリカ化する日本のジレンマ、江戸的な現代へ。等々の章からの日本に対する考察。これが読み応えがあり、日本理解についての問いが立った。「突き詰めると私たちは皆日本人ではないか?」筆者の問いは日本に対する造詣や、尊厳も感じられるように思う。日本たるものの日本らしさについては、自分なりにも問うていきたい。2023/01/28
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