内容説明
「薩長史観」VS「津田史学」
歴史における定説の数々を塗り替えた津田左右吉が論理と実証に基づいて、長年にわたり信じられてきた薩長史観をくつがえし幕末維新の真の姿を明らかにする!
時代と格闘した著者畢生の先駆的論稿6篇を所収!
「明治維新とは一口にいうと、薩長の輩が仕掛けた巧妙な罠に征夷大将軍がかかってしまったということである……」(本文より)
はじめに「明治維新史の取り扱いについて」/第一章「明治の新政府における旧幕臣の去就」/第二章「幕末における政府とそれに対する反動勢力」/第三章「維新前後における道徳生活の問題」/第四章「トクガワ将軍の『大政奉還』」/第五章「維新政府の宣伝政策」/第六章「明治憲法の成立まで」/おわりに「サイゴウ・タカモリ」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
記憶喪失した男
12
歴史には秘密があり、明治維新ひとつをとっても、その本質は隠され、歴史家は真相にたどりついても公開することが許されない。津田左右吉は「古事記・日本書記の研究」で神武天皇ら最初の八代が存在しなかったと主張したことで有名な歴史家らしい。津田左右吉の「明治維新の研究」は、一次資料に当たっている歴史家の記述だという価値はあるものの、おれが解釈している明治維新とは解釈が異なるようだという感想だ。読むのに非常に時間がかかってしまい、読みづらい本であった。2022/07/26
アバチャン
0
薩長から見た、勝てば官軍的な歴史観とは対極にある分析に感服。敗戦に至る契機が作られたのは明治維新かもしれない。2022/04/03
荏苒 byn
0
津田史観、奥が深い碩学である。興味深いがなかなか読み切れない。「日本における儒教道徳は・・(日本の)生活の姿でなく・・異民族の間に発生した異国民の思想P 91 」「倒幕の主張者は南朝の思想的復活を妄想する者に他ならず、歴史の展開を全く理解しない者106 」「明治の華族 には5爵が設けられ薩長人を主として ・・成り上がりものが権力を得たのでその地位を確保する・・貴族院は編成が勅令で定められ法律の定めになっていない・・ 法律で定められると衆議院が関与するからそれを防いだのだろう263」browsed2022/03/11