内容説明
「あなたが、最後に会いたい人は誰ですか」
さよならの向う側と呼ばれる場所にいた男、案内人はそう言った。
人は亡くなった時、最後に一日だけ現世に戻って
会いたい人に会える時間が与えられる。
ただし、その中で会える人は、
『あなたが死んだことをまだ知らない人だけ』。
人は最後に大切な人に会いに行く。
きっとどんな困難が待っていても、人はそれでも大切な人に会いに行く。
そんな、さまざまな人たちと案内人が織りなす、最後の再会を描いた純度100%の温かい感動の物語。
今すぐ、大切な人に会いたくなる物語が、ここにある――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
134
インスタで見かけて気になり手にとりました。見た目の装丁とタイトルにあるイメージ通りの作品でした。既にこの世から別れを告げなくてはならない人が『さよならの向こう側』に行ってしまう前に'誰か'に会うコトができるというお話。そんな彼らを案内する「案内人」のキャラがまたナイスな感じで読みやすかったです。連作短編集が好きな方で年齢問わず楽しんでもらえます。読んでいて改めて自分にとって大切な人は誰なのかなと真剣に考えてしまいますね。最後の最後の展開に誰もがココロ打たれるコト、間違いなしだと思います。続編を読まねば。2022/08/11
とん大西
132
〈死んでしまったあなたに、与えられる最後の1日。現世に戻り会いたい人に会ってきてください。でも、会える人はあなたの死を知らない人に限りますが…〉 さよならの向う側でのどかにエスコートする案内人。この世に未練を残した男女が紡ぐ最後の安らぎ、それは束の間の。「ツナグ」とは似て非なる別れがもたらす永遠に涙腺がジワリ。優しいですね、とろけるほどに。流れから最終話の有り様はなんとなく想像がつきましたが、麗しいラストに心地よい余韻が残ります。2021/07/23
machi☺︎︎゛
114
人は亡くなった時最後に1日だけ現世に戻って会いたい人に会える時間が与えられる。ただしその中で会えるのはあなたが死んだことをまだ知らない人だけ。というさよならの向こう側に行ってしまった人たちの本当の最後の1日に焦点をあてた連作短編集。案内人と共に現世に戻る死者はこれからも生きていく人たちの知らなかった気持ちを知り涙する。同じ母親として、幼い子供を残して旅立たないといけないのは辛かった。2022/12/04
モルク
108
亡くなった時1日だけ現世に戻り会いたい人に会える。しかしそれはその人が死んだことをまだ知らない人だけ。最期の再会をする5人とさよならの向こう側にいる案内人の物語。幼い子を残し突然この世を去った母親の話「Heroes」小さな我が子に会い抱き締めたい。でも「死んだことを知らない」という制約には…そうか、こういう手があったか!最終話の案内人の話「長い間」も感動的。でも私が年をとって夫の前にあらわれたらこんな婆さん知らんということになるかも(夫はまだ健在ですが)と感動に水をさしてしまった。どれも心暖まる話だった。2023/12/12
ひこうき雲
88
よくある話かと思ったら、そんなことなかった。─最後に一日だけ現世に戻って、会いたい人に会える時間が与えられる。ただし、その中で会える人は、『あなたが死んだことをまだ知らない人だけ』─えっ死んだことを知らない人だけ!そのとき自分ならどんな選択をするだろう。本当に会いたい人にどうやったら思いを伝えられるだろうか。2022/01/22