講談社選書メチエ<br> 創造と狂気の歴史 プラトンからドゥルーズまで

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講談社選書メチエ
創造と狂気の歴史 プラトンからドゥルーズまで

  • 著者名:松本卓也【著】
  • 価格 ¥2,310(本体¥2,100)
  • 講談社(2019/03発売)
  • ポイント 21pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065150115

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内容説明

「創造」と「狂気」には切っても切れない深い結びつきがある──ビジネスの世界でも知られるこの問題は、実に2500年にも及ぶ壮大な歴史をもっている。プラトン、アリストテレスに始まり、デカルト、カント、ヘーゲルを経て、ラカン、デリダ、ドゥルーズまで。未曾有の思想史を大胆に、そして明快に描いていく本書は、気鋭の著者がついに解き放つ「主著」の名にふさわしい1冊である。まさに待望の書がここに堂々完成!

目次

はじめに──狂気と創造性は紙一重?
第1章 「狂気と創造性」の関係を問う
第2章 プラトン──神的狂気と創造性
第3章 アリストテレス──メランコリーと創造性
第4章 フィチーノとデューラー──怠惰からメランコリーへ
第5章 デカルト──狂気に取り憑かれた哲学
第6章 カント──狂気を隔離する哲学
第7章 ヘーゲル──狂気を乗り越える哲学
第8章 ヘルダーリン──ついに統合失調症が現われる
第9章 ハイデガー──詩の否定神学
第10章 ラカン──「詩の否定神学」の構造論化
第11章 ラプランシュとフーコー──ヘルダーリンと父の問題
第12章 アルトーとデリダ──病跡学の脱構築
第13章 ドゥルーズ──「詩の否定神学」からの逃走
おわりに──「狂気と創造性」はどこへ向かうのか?

参考文献
初出一覧
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

44
狂気と創造の関係を語るのための潜在能力を秘めているという病跡学の思想史とはどのようなものでしょうか。例えば、デカルトにおける理性は、狂気を徹底することによってはじめて可能になり、コギトは自らが狂気に憑かれているという疑いの中から理性を取り出してきます。共同体に馴染めず放浪した当のデカルトは、スキゾイドと診断できるという具合です。統合失調症で最大の傑出人として、世間の水平方向に向かわずに、理想の垂直方向に跳躍しようとしたヘルダーリンに注目します。ヘルダーリンの詩作を思索した「詩の否定神学」のハイデガー、精神2019/03/15

Bartleby

17
狂気が新たなものを生み出せるという考えはプラトンの時代からすでにある。もっとも、ダイモーン(神)の声を聞ける能力という意味でだが。驚いたのが、狂気の詩人ヘルダーリンの哲学史における存在感の大きさ。ヘーゲルの同窓である彼が、初めての統合失調症患者とみなされているのは、「世界精神」の不可能性と表裏一体になっていて興味深い。ハイデガーの否定神学モデルなどもろにヘルダーリンで、その後のデリダやドゥルーズの展開は、いわば不在の神の声を聞く=統合失調症至上主義に対する批判が原動力でもあったのだな。2023/04/25

koke

16
再読。統合失調症中心主義と悲劇主義的パラダイムがいかに生まれたか、ヘルダーリンをめぐる言説を広く検討することで明らかにしている。現代における創造と狂気を考える終章はもっとも頁数が多いが、それでも素描にとどまっており、できればもっと展開して一冊の本にしてほしかった。データベースとアルゴリズム、偶然性からの創造に賭けるという方針は、早くも古びつつあるのではないか。そこを聞きたい。2023/03/06

うつしみ

15
狂気と戯れるという意味で、病跡学はどんなホラーより恐ろしいと思う。それは近代の不安を炙り出し、日頃我々が目を背けているものを白日の下に晒す試みである。曰く、コギトとはデカルトが悪霊に貼った御札であると。悪霊は消えた訳ではない。見ない様にしただけだ。「正常」な人とは、そこを必要以上に詮索しない人である。御札で封じた筈の何かが舞い戻って私の中に侵入してくる時、現代では統合失調症とされる。統合失調症は近代の病なのだ。同症であったとされるヘルダーリンの詩を読み解くことで、哲学者達はそこに否定神学的構造を見出した。2024/05/13

恋愛爆弾

14
狂気/正気。この境界線「/」は神の手のひらでできていたり悪魔の羽根だったり父親の不在だったり境界自体がうそだったりする。うそが破れて穴が開く。昔、壁の裂け目からこちら側に花を渡す兵士の写真を見たことがある。壁が「/」で花が「創造」だとしたら差し出す手は、神に伸ばした手、受取人はいない。いるはずがない……そんなとき、花(flower)はパンの粉(flour)になる。どこまでも現実を横滑りしていくことで壁を欺く。大きな塊のうそには、小さな粒のうその集まりになって対抗しながら、愛することに賭けるのだ。2021/02/28

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