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内容説明
「精密司法」と呼ばれる日本の検察。事件の起訴を行った場合、ほぼ100%の確率で有罪となる。また、検察庁は、警察が逮捕した犯罪者を不起訴にして無罪放免にできるほどの力を持っている。検察とは、いったいどんな組織なのか。本書では、近代司法制度がスタートした明治時代から、多くの不祥事で揺れる現在までの検察庁の軌跡を概観。99.9%――。この数字は何を意味するのか。注目の憲政史家が問う、「精密司法」の正義と矛盾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
糜竺(びじく)
26
検察を軸にした明治以降の歴史が分かる。やっぱり爽やかな内容にはならないよね(笑)。2021/03/12
takam
19
冒頭の「裁判では検察の立件が正当性があるのかチェックする」ということが分かれば、本書を読む価値があると思う。結局のところ、検察は恣意的に行政権を発動できるのである。この本を読む前から分かっていたことなので、特にこの本から学びはなかった。造船疑獄と検察の権力闘争について理解しないと、現代の日本の時代遅れの司法の原点が分からないと思う。2020/01/22
templecity
18
裁判で裁かれるのは被告でなく検察官。明治維新では薩長が権力を握る大蔵省、内務省に対して牽制機能として検察庁があった。戦前は警察と検察の機能が同じであったが戦後は取締る役目と訴訟の役目を分けた。首相経験者をも逮捕してしまう検札庁は独立した機関であるべきだが、戦後は時の政権の思惑で色々な力が働いた。ロッキード事件、リクルート事件など政権争いの仇討とも言われた。検察も独立しているとは言われるが時の政権の思惑に影響はされるものである。 2020/06/27
軍縮地球市民shinshin
18
検察の通史。着眼点が面白い。なかなか類書はないだろう。こうしてみてみると、三権分立というのは建前なのだなぁと思う。自民党の派閥抗争と検察は密接な関係が存在する(らしい)。2018/04/27
南北
14
冒頭で田母神事件を取り上げ、無実の罪で犯罪者にされる可能性があることを示唆し、司法権が国民の生活に密接に関係していることを指摘しています。その後、検察の歴史を明治時代から直近では大阪地検特捜部が村木厚子を逮捕した不祥事までを扱っています。議員辞職や引退を交換条件として起訴猶予にする手法は明治時代からあったことがわかりますし、刑事裁判で裁かれるのは被告人ではなく「検察官」であるとするなど興味深い指摘もあり、同じ著者の「財務省の近現代史」も読んでみたいと思いました。 2018/04/27