社会問題化ともいえる品質不正の続発に、どのように見直して手を打つかは喫緊の課題である。
対策検討に当たって関係書籍を読んだ中で、本書は,なるほどと納得できた記述が多くあった。
本書の構成は、先ずは日本で起きている品質不正の実態把握からスタートし、なぜ不正が起きてしまうのかの要因分析を細かく行っている。
それらには、品質軽視の経営姿勢、貧弱なリスクマネジメント、現場・現実の実態未把握もよる無理な机上コストカットの強制、プアーな日常管理など多要因があるとしており、特に経営層と現場第一線の断絶ともいえる現実の要因群に納得感がある。
また、品質不正を行っているほとんどの組織がISO9001の認証企業であるということで驚きを禁じ得ない。
品質不正体質から抜け出すには、長年不正をしてきた(又はせざるを得なかった)組織文化・風土の掘り下げを必須としており、それら含めてリスクマネジメントから日常管理の充実につなげ、それらを実施する人づくりが何よりも重要としており、対策立案に本書が役立つと感じた。
最近、グループ内の子会社で品質不正が顕在化し、グループ挙げてマネジメント全体を見直すに当たり、本書を経営層や中間管理職層必読の書として薦め、この考え方に沿って改善につなげたいと考えている。