【紀伊國屋書店出版部】10月新刊『台湾少女、洋裁に出会うーー母とミシンの60年』
日清戦争後、日本統治下に置かれた台湾には、日本を経由して西洋の文化が流れこんだ。1920-30年代にはインフラが整備され、百貨店が誕生、喫茶店が流行するとともに、西洋菓子の広告が紙面を飾った――「洋服」もそのひとつだった。
本書の主人公、古都・台南に生まれた少女も、公学校(小学校)卒業後、家業の日用品店を手伝ううちに、包装に使っていた古紙のなかに、日本の婦人雑誌の洋裁のページを見つけ、たちまち魅了された。
やがて彼女は、親の反対を押しきって、台南の目抜き通りで日本人が経営する日吉屋洋装店の見習いとなり、それに飽きたらず戦前の日本に留学を果たすことになる。そして、戦後には自ら台南の地に洋裁学校を開き、台湾女性の自立を後押ししていく――* * *
NHK連続テレビ小説「カーネーション」のモデル、
コシノアヤコと同世代の彼女が、
晩年、息子に語った来し方から、台湾の近代が浮かび上がる。