内容説明
尾張中村郷で農夫として静かに暮らしていた小竹は、兄・日吉の嘆願を受け、織田家への奉公を決意する。そこから、秀吉・秀長兄弟の伝説がはじまった。誰よりも家臣と領民、そして平和を愛した男が生涯をかけた夢とは? 秀吉の天下統一を影で支えながら110余万石の大大名に上りつめ、「天下の調整役」として名をはせた、豊臣秀長の波乱に満ちた生涯を描く!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鐵太郎
13
個人的に、戦国時代の中で好感を持っている三人の武将の一人。死後に、「大和大納言ありせば」こうはならなかったものを、と多くの人の嘆きの言葉が残る傑物の生涯を描いたもの。伝記的な本としては、堺屋太一さんの本以来かな。この作家の歴史解釈や、カタカナ言葉の使い方などに多少異論がありますが、こういう描き方もいいな。もしかしたら、豊臣秀長とはこんなふうな人物だったのかもしれない。2016/04/24
竹園和明
8
「天下の調整役」豊臣秀長の生涯を描いた作品。尾張の農家から兄秀吉に請われて彼に仕え、軍師竹中半兵衛や黒田官兵衛らとともに秀吉を支えた名参謀。総務的な立ち位置にいた人なのかと思いきや、後半は軍の総大将として戦の先頭に立っていた人でもあった。バランス感覚に秀で、周囲と秀吉そして軍の関係性を常に意識し目配りを怠らなかった事が、秀長本人そして秀吉軍の栄華につながったのだろう。それにしてもこの作品、小説というより報告書を読んでるようで読み続けるのが結構ツラかった。2015/06/12
スプリント
7
豊臣秀長が兄の秀吉よりも長生きしていたら歴史はどうなっていたんでしょうかね。2019/06/16
Henzen
6
豊臣秀長も不思議な人物だと思います。秀吉や他の武将の評価には肯定的、否定的な二面性がありますが、秀長は江戸幕府にとって前政権のNo.2でありながらあまり印象操作を受けておらず、割と一般的に好意的であるように感じます。本作でもひた向きに兄を支える、献身的な弟として描かれます。豊臣政権は秀長の死去、利休切腹により政権の調整役を失い、統一が進むにつれ独裁色を強めていき、結果として不満が蓄積されていったのではないでしょうか。裏方やNo.2の重要さを感じる作品でした。2016/01/19
Chinatsu
4
豊臣秀長の生涯を描いた話。 割と史実の説明が多く、小説というより教科書っぽい感じでややドライな印象。 だからか読みやすい。 秀長の誠実な人柄がよく出ている。 2019/03/16