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内容説明
本書は、倫理学を学びたい人、社会の多様な出来事に倫理的問題を見出だそうとする人に向けて、倫理的諸問題と倫理学の関係を斜めに解き明かし、倫理学の全体像を描き出す。まず倫理・倫理学とは何かを整理し、倫理学という学問の日本における受容史を解説。さらに、倫理学のもつ根本問題――倫理の実践はどうあるべきか、真の善を目的とした行動に人々を駆り立ててよいのか――を根源から考察。学問としての倫理学が真に目指すべきものと、倫理学的観点の面白さとを伝える。
目次
はじめに/第一章 倫理とは何か/1 倫理と善/倫理の本質/倫理の意味/「善いこと」と倫理/2 倫理規定/精神と倫理/倫理規定と法律/倫理規定のポジション/法律と倫理/倫理規定の本質/倫理規定と倫理/3 応用倫理/法律と倫理の分離/応用倫理の行き詰まり/胸に手を当てて考える/良識と倫理/4 倫理と道徳/倫理の語源/道徳/現代の徳/道/儒教道徳/モラル/倫理の諸概念/5 倫理的なもの/倫理学の主題/生活の指針/ネット空間/ネットにおける言説/セクハラ/さまざまなハラスメント/バイアス/精神医学/生命政治/病理と倫理/倫理と宗教/第二章 倫理学の歴史/1 西欧の倫理学/道徳なき倫理/功利主義/西欧倫理学の起源/習俗としてのエトス/アリストテレスの倫理学/マキアヴェリの道徳批判/ホッブズとスピノザ/倫理的利己主義/中国と西欧/カントとベンタム/自由/2 わが国の倫理学/輸入された倫理学/西欧倫理学の受容/現代日本の倫理学/これからの倫理学/3 学問について/学問的思考の不在/鹿鳴館主義/知識人たち/学問の未来/4 倫理学の今日/倫理的思考/倫理学書が読まれない理由/真の善の探求/第三章 倫理学の根本問題/1 倫理学は政治なのか?/真の善/哲人王の夢/真理政治/宗教と政治と経済と法律/純粋倫理/2 倫理学は何もできないのか?/倫理学のポジション/学問の倫理/学問と政治/政治と倫理学/3 倫理学は つきなのか?/倫理思想史/きれいごと/言説の善悪/内面なるもの/ /現実性/学問的詐欺/言説の倫理/4 倫理学は手段を正当化するのか?/真と善/目的の真偽と善悪/目的は手段を選ばないか?/存在しない善/目的と手段/自己目的化した手段の善/手段の善悪/手段の本質/5 倫理学は善なのか?/真の善とは何か/真の善を求める悪/倫理と論理/「善い」と述べること/倫理的であることと倫理学の関係/「真の善」と「善の真」/倫理批判の学/第四章 身体の倫理学の基礎づけ/1 体調と倫理/自然的善悪/善悪の意味/体調に影響される判断/身体の倫理学/2 身体/身体観の変遷/前近代の身体観/近代の身体観/心脳一元論/認識と宇宙/ベルクソン的身体/マクロコスモスとミクロコスモス/3 言説としての倫理/さまざまな倫理的言説/言説による倫理的解決/言説の四つのタイプ/記述としての言葉/倫理について語る/4 意識の受動性/倫理的意識/今日の意識概念/意識と明晰さ/明晰さの諸段階/無意識/5 能動性の経験/意識と脳/能動性/与えられる意識/意識と感覚/睡眠と覚醒/記憶/忘却力/過去の占拠/思考に隠されているもの/6 思考と身体/倫理的主体/意識の理由/ぼんやりとした意識/専念できない場合/本能と学習/身体の統合/意識にとっての身体/理性的な行動/7 習慣/習慣という概念/悪い習慣/遊びと訓練/動物と人間/生命と文化/慣習とマナー/精神と生/8 倫理的思考/集団と倫理/寂しさ/倫理的生/あとがき
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