内容説明
知の巨人が語り尽くす、日本への刺激的処方箋
いつの間に、日本はこんなに生きづらい、貧しい国になってしまったのか?
なぜ、こんなにデタラメな政治がまかり通る世の中になってしまったのか?
その答え、実は「コモン」ですべて説明できるのです。
AIによる大量失業、富の一極集中、アンチ・グローバリズム、人口減少による高齢化と過疎化……
いよいよ限界を迎え、音を立てて軋んでいる資本主義。
その背景には、昔はどこにでもあったコモン(共有地)の喪失がある。
今こそ分断を超え、新しい共同幻想を立ちあげるときだ。
絶望の果てに光を見出す希望の書。
巻末に文庫版特別付録として、東京大学大学院准教授・斎藤幸平との対談「心地よい、新しいコモンについて語ろう」収録!
21世紀の新たな「囲い込み」を警戒せよ!
そこには、ディストピアしかない──。
・西部劇「シェーン」は「コモンの消失」という悲劇を描いていた
・「貧困は自己責任」と切り捨てる心理
・「青年」も「旦那」も消え、子どもおじさん・おじいさんが出現
・「一罰百戒」で委縮するテレビ局や大手メディア
・ディープ・フェイクの時代を生き抜くために
※この電子書籍は2020年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひと
7
私有地を囲い込み生産性を上げてい くという資本主義は行き詰まってきてる。かつては土地、動物、生産手段などはみんなで共有していていた。今こそ、コモン(共有地)を広げていき、次の世代に繋ぐことが必要ではないか、という提言が、書かれているのかなと思いました。2024/04/25
しゅー
5
★★内田先生はリベラルとして括られることが多いけれど、いい意味で「保守」の一面を持っていると思う。人間の理性に過大な期待を寄せないし、伝統についても廃止するだけの合理的な理由がない限りそのまま残そうとする。また、我々が言語化できない時代のイヤ〜な気分を的確に言葉にして整理してくれる。何より、人間の負の側面を否定しないで寛容を説いてくれるのがありがたい。いつもながらの村上春樹論も楽しませていただいた(乞復刊『村上春樹にご用心』)。政治家の具体名が出てくるとちょっと残念な語り口になってしまうのがもったいない。2024/03/26
totssan
3
コモン≒共通、共有の概念から、昨今の国内外事情を概括しつつ課題提示をする。本書は他の先生本よりもよりトホホ感が満載な気がした。海外在住の日本人の「日本やばいよ」論とは異なるのだが。いつもながらのご指摘に慄きつつ、新たな考える視点、ヒントを得られるので毎回入手しては唸っている。そう、先生のシリーズも考えるヒントなのである。2024/04/11
aaboo
3
コモン(共有地)の重要性を知った。2024/03/15
しょー
2
内田センセイのコロナ禍以前のエッセイの単行本の文庫化。いつもの話でありつつ、その後にコロナ禍もあり色々ありで世の中が大きく変化したこともあり、少し昔話のような印象を持ちつつ、素直に読み進める。 「コモン」って言葉は文庫での特別対談に登場する斎藤幸平さんの著者などで初めて認識したけど、それ以前から書名になってたんやなと。2024/04/17