岩波新書<br> メディア不信 何が問われているのか

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岩波新書
メディア不信 何が問われているのか

  • 著者名:林香里
  • 価格 ¥924(本体¥840)
  • 岩波書店(2024/02発売)
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  • ISBN:9784004316855

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内容説明

「フェイクニュース」「ポスト真実」が一気に流行語となり,世界同時多発的にメディアやネットの情報の信憑性に注目が集まる時代.権威を失いつつあるメディアに求められるプロフェッショナリズムとは? 市民に求められるリテラシーとは? 独英米日の報道の国際比較研究を通して民主主義を蝕む「病弊」の実像と課題を追う.

目次

序 章 「メディア不信」――何が問題か
世界同時多発する「メディア不信」
社会現象としての「メディア不信」
「メディア」とはだれか
「信頼」と「不信」
「慣れ親しみ」
二通りの「メディア不信」
民主主義の否定
第1章 「うそつきプレス!」――ドイツの右翼グループの台頭
マスメディアへの厚い信頼
ドイツのメディア制度の特色
「うそつきプレス」が「イケない言葉」に
ユダヤ人陰謀説とナチスによる弾圧
右傾化と「うそつきプレス」
難民問題でつまずいたジャーナリズム
ジャーナリズムの職業倫理との葛藤
改正されたプレス・コードのガイドライン
右傾化ドイツのジャーナリズムの行方
第2章 大衆紙の虚報とBBCの公平性――英国のEU離脱決定
EU離脱
EUとメディア
ネットよりも低い新聞への信頼度
EU離脱キャンペーンと「フェイク・ニュース」
大衆紙の影響力
分断される社会,戸惑う一般市民
BBCは何をしていたのか
BBCの「公平性」への回帰
階級社会から生まれる「メディア不信」
第3章 大統領が叫ぶ「フェイク・ニュース!」――分裂する米国社会
米国のメディア理念
「ジャーナリスト=エリート層」の定着
下降する信頼度
トランプ大統領とマスメディア
大統領選中に広がった「フェイク・ニュース」
「おまえは,フェイク・ニュース!」
分裂する言論空間
「ディープ・ステイト」陰謀説
リベラル・ジャーナリズムの失敗
第4章 静かな「メディア不信」――日本のメディア無関心
日本の新聞市場の特徴
地上波テレビ局の覇権
日本人はメディアを信頼しているか
「マイ・メディア」のない国
弱いメディアへの問題意識
漠然とした不信
メディアと市民の距離
薄い市民の影
日本のメディアの党派性
『産経新聞』と読者の関係
右派「草の根」運動とメディア
左派の市民運動とメディア
「老舗」の危機とメディアの将来
第5章 ソーシャル・メディアの台頭――揺らぐ先進諸国の民主主義
広がりながら閉じていくネット空間
ソーシャル・メディアによる社会の分断
フェイスブックを使った心理操作
フェイスブックから割り出される人物像
「マイクロ・プロパガンダ」
億万長者の影
「ボット(bot)」の繁殖
「ファクト・チェック」の限界
マスメディアの地盤沈下と揺らぐ民主主義
終 章 ポピュリズムと商業主義に蝕まれる「言論空間」
ポピュリズム運動が招いた不信
「リベラルな民主主義」の矛盾と相克
危うい日本の無関心
商業主義への懸念
「メディア不信」を乗り越える
メディアがつくる「公共」の必要性
ポジティヴな不信へ
あとがき
主要引用・参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

79
ポピュリズム台頭、思想が極端化し、緩やかに分裂しつつある社会、政治的無関心の根底には長くから募ってきたメディア不信があるのではないかと問いかける本。日本の新聞を読んでいると同じ出来事を取り上げた記事でも左派的、右派的、政権寄りなどの主張が目を付き、本当にメディアには客観性があるのかと困惑する時がある。日本の政治的無関心とそれを逆手にとったセンセーショナルなメディアへの緩やかな不信に反省。それにしてもイギリスのタイムズなどの大手新聞社がポピュリズム寄りの記事を掲載していたことがあるのは知らなかったので驚いた2018/01/24

skunk_c

27
ドイツ・イギリス・アメリカ・日本のメディア状況を比較して、市民たちがどのようにメディアに不信を抱いているかを論じたもの。難民問題がきっかけに右翼から不信を投げつけられるドイツ、大衆紙がEU離脱を扇動したイギリス、反知性主義を背景に、大統領が大手メディアを「フェイク」と罵倒したアメリカ。そしてその大統領選の背後に、ビッグデータを駆使したマイクロ・プロバガンダがあったという。日本は露骨なメディア不信がない中、着実にバランスは右に寄っているという。今後のメディアのあり方については、著者自身も戸惑いを隠さない。2017/12/25

21
私達は「信頼」と「不信」を使い分けることによって思考を節約し、生活態度を単純化する。確かに、そうしないと時間も体力も浪費するだけだ(気軽に買い物もできない)。しかし、あまりにもシステム任せ、前例頼みになってやしないだろうか▼常識(当たり前)を疑い、突き放す為の方法→「歴史的考察」と「国際比較研究」(ただし、成績比べはしない)。つまり、今の自分がいる場所の問題を起点に、縦軸と横軸を意識してみることなのだと思った。2018/05/25

べる

18
グローバルなテーマの「メディア不信」をドイツ、英国、米国、日本の事例から考えていく一冊。米国では、2016年の米国大統領選で57紙から支持をとりつけたクリントン氏が、2紙だけの支持のトランプ氏に惜敗した例などからソーシャルメディアの発達の影響が大きいと分かった。日本は不信ではなくて「無関心」と述べられているので、身近なソーシャルメディアを上手く活用する手があると思う。現在から離れてその成り立ちを考える『歴史的考察』と他国の例を見て違うやり方、考え方や共通課題を発見する『国際比較』という分析の仕方も学べた。2018/10/13

ヒデミン@もも

17
市図書館。大学図書館。政治学原論レポート。後半参考になった。2018/11/23

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