内容説明
毎日1日分だけの買い物をし、ハッピーアワーで1杯飲んで帰る。
誰とも会わない、喋らない。そんな女将の胸の内。
コロナの3年間のお上の無能に怒り、吉本家の“独特な味“を懐かしみ、『猫屋台』で大盤振る舞い……。“人外魔境”より届いた、「真っ当な食、真っ当な命」をめぐるエッセイ。
味と思い出は、紐付けられる――。
完全予約制の、知る人ぞ知る『猫屋台』の女将・ハルノがその「日乗」を綴り始めたのはコロナが蔓延り始めた2020年の春。女将は怒っていた。緊急事態宣言、アルコール禁止、同調圧力、自粛警察……コロナが悪いんじゃない、お上が無能なんだ――と。怒りの傍ら綴るのは、吉本家の懐かしい味、父と深夜に食べた初めてのピザ、看板猫・シロミの死、自身の脱腸入院、吉本家の怒涛のお正月、コロナの渦中に独りで逝った古い知人……。美味しさとユーモアと、懐かしさ溢れる、食エッセイ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
阿部義彦
22
ここの所古本ばかりでしたので新刊単行本のレビュー。吉本ばななさんのお姉様で猫狂いの漫画家ハルノ宵子さんのエッセイです。宵子さんは私の姉と同じ歳なので過去の時代背景でも、凄く分かります。大腿骨骨折で人工関節入れてますが、私も同じ骨折でチタンが入ったままです。変な共感。さて同じ年の5月と10月にお父さんとお母さんを亡くしたハルノさん、家を改造して店を開業します、馴染みの客のみ予約してお任せで料理と酒を出す、その名も自宅居酒屋『猫屋台』。その報告、しかし口(筆)の悪さは引いてしまうかも?イラストは可愛いのに。2024/02/07
たっきー
16
前作『猫たましい』が面白かったので、今作も読んでみた。前作は闘病、介護の話が多かったが、今作はコロナ禍での政府の対応への不満や飲食店の話、自身で営む「猫屋台」(完全予約制の飲食店)や料理づくりのこと等食事にまつわる話が多かった。ストレートすぎて口が悪いところも多いけど、正直な気持ちではないかな。私は面白く読んだ。2024/03/20
Masakazu Fujino
7
ハルノ宵子氏の最新作。コロナ下の行政はじめ社会の対応に怒る💢。2024/03/10
チェアー
5
ハルノさんの猫屋台、いちどぜひ行ってみたい。食べ物がとても美味しそうで、吉本隆明と関係なく、食べてみたい。 食や料理そのものよりも、誰かにおいしいものを食べさせて喜んでもらうことが好きなのだろう。だって1人だったらファミレスで一杯飲んで、つまみを食べればそれで充分なのだから。 2024/03/10
さっちり
3
コロナの真っただ中の期間に書かれたエッセイのようで、つい最近のことなのに、そうだったそうだったと思いながら読んだ。最初、表紙と文章から勝手に若い作家さんかと思っていたら、読み進めるごとに???となり、調べたらなかなかの先輩のご様子。なるほど、先入観はよくない。2024/03/23