内容説明
吃音で「いらっしゃいませ」、メニュー、代金が言えず、接客アルバイトを諦めてきた若者がいる。人と話したいけど言葉がうまく出てこない――そんな若者たちが、奇想天外な1Dayカフェを始めた。発起人は、自身も吃音症で夢に蓋をしてきた奥村安莉沙。言葉をめぐる冒険、急がない幸福。エッセイの名手・大平一枝が紡ぐ温かな感動ノンフィクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おいしゃん
29
【2024-55】吃音者による吃音者のためのカフェに密着したドキュメント。誰にも相談できず、言葉を発する度に極度の緊張と、発した後の絶望は、嫌というほど体験してきたので、様々な感情を生みながらの読書だった。幸いにも自分は、読書会を主宰したり、リーダーとして前に出るのも苦にならないほどにはなったが、それでも電話や特定の発語にはいまだ苦しみを感じるため、全く他人事ではない。ぜひこの取り組みに、いずれ何かしらの形で関わりたいと思った。2024/04/14
ぽてち
27
どこかで聞いたようなタイトルの本。「注文に時間がかかるカフェ」とは、吃音で悩む人達のために、同じ障害の奥村安莉沙さんが始めたプロジェクトだ。本書はその活動に密着取材したノンフィクションである。カフェで働くという夢をあきらめた奥村さんだが、自らの経験から若者のために1日限定のカフェを始める。主催者が場所と資金を提供し、障害を持つ人が接客を担当する。予約制で飲食費は無料だ。参加者は接客体験を通じて自信をつけ、見違えるように変わるという。活動の詳細も興味深かったが、吃音を巡る誤解や偏見に胸が塞がる思いだった。2024/04/19
おさと
11
「吃音」という概念を知ってから、「ああ、あの子はそうだったんだな」と気づいた。変だと思うこともなく、そういう喋り方なんだと思っていた。というのを思い出した。そして、子供は純粋、がゆえに残酷。確かに。2024/02/23
hana@笑顔満開のわくわく探索人
9
図書館でタイトルを見て、「最近自分の知人が開いたやつだ!」と即借りました。吃音当事者達がカフェのスタッフになり、お客さんとのコミュニケーションやスタッフ同士のやりとりを通してエンパワメントされていく様子がわかり、近くであったら客として行ってみたくなりました。主宰の奥村さん、すごいパワーです。2024/03/20
拡がる読書会@大阪
7
時間がかかるというのは注文に時間がかかるという意味だそうで、それは接客する人たちが「吃音」という発話障害の持ち主。 話すことに苦労することで接客業を諦める方がたくさんいるそうで、それは人と接する事自体を遠ざけてしまうのではということから、発話障害の学生さんたちがスタッフとして働くカフェをイベント的に日本各地で行っているそうです。その様子を綴り、聞くことの大切さを記したノンフィクション。 https://note.com/sharebookworld/n/ne0ff9d295cd42024/03/17