リスボン大地震:世界を変えた巨大災害

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リスボン大地震:世界を変えた巨大災害

  • 著者名:ニコラス・シュラディ【著】/山田和子【訳】
  • 価格 ¥3,762(本体¥3,420)
  • 白水社(2024/01発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 1,020pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784560093719

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内容説明

1755年、首都壊滅す──その地震は歴史を変えた

1755年11月1日、万聖節の朝、ポルトガルの首都リスボンで発生した大地震は、大航海時代以来交易都市として栄えたこの街を一瞬にして壊滅させた。市内各所で発生した火災は瓦礫と化した街を焼き尽くし、さらに大津波が人々を襲った。死者2万5千人以上、ヨーロッパ史上最大の地震災害である。しかし、首都壊滅の危機に国家の対応は素早く、国王ジョゼ一世から全権を委ねられた大臣カルヴァーリョは、直ちに被災者の救援と食糧配布、遺体の処理、治安維持などの対策に着手し、その後新たな都市計画のもと首都再建に乗り出した。同時にこの国を支配していた教会・貴族勢力を排除して、ポルトガルの近代化が進められていく。地震の甚大な被害は忽ち各国に伝えられ、聖職者や思想家、科学者たちにも大きな衝撃を与え、様々な議論が沸騰した。
一国の首都を直撃した大地震として関東大震災とも比較され、地震・火災・津波の複合災害として東日本大震災以降再び注目を集めるリスボン大地震の実態と復興の足取りを史料を駆使して鮮やかに描き、社会・経済・科学・思想・宗教など広範囲に及んだ影響をたどる歴史ノンフィクション。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

107
以前に読んだ同テーマの本はリスボン大地震の被害と復興に焦点を当てたが、こちらは大地震の前後でポルトガルの政治や社会が一変した状況を描く。植民地の富と奴隷貿易に依存して貧富の格差を放置し、英国の経済植民地に等しくなっても危機感を覚えず、カトリック教会と大貴族の専横下で名ばかりの黄金時代にあったポルトガルだが、国王から独裁権を委ねられたボンバル侯は旧弊な聖職者と貴族を容赦なく粛清し、有能な平民を抜擢して改革を断行した。フランス革命より30年近く前、ポルトガルは地震により中世的停滞を脱する革命を成し遂げたのだ。2023/11/02

どんぐり

85
1755年11月1日、万聖節の日の朝のリスボン。最初の激震が起こったのが午前9時30分。そして本震、90分後に津波が襲う。津波は3回に及び、宮殿や教会、政府の建物は倒壊しこの都市に壊滅的な打撃を与えた。津波にさらわれた者、火災で灰になってしまった者、さらに、重傷を負いそのまま回復しなかった者など、推定死亡者はリスボン市民のおよそ1割の2万5千人。幸い地震が起こった時に国王はリスボンにはいなった。首都再建にあたったのは国王の命を受けた宰相カルヴァーリョ。災害はファナティズムに火をつける。→2024/04/11

みねたか@

23
フェルナンド・ペソアの著作で何度もふれられていたリスボン地震。震災がリスボンの街の姿を一変させるほど激烈なものであったことを改めて知る。また、本書は復興の指揮をとったカルヴァーリョという極めて個性的な政治家の物語としても、当時のヨーロッパ諸国の関係性や、キリスト教信仰と教会のあり様を教えてくれえる書としてもとても興味深く読んだ。2024/04/08

藤井宏

14
1755年ポルトガルの首都リスボンを大地震が襲う。地震とその直後の火災、津波の被害で少なく見積もっても当時25万人の人口の10人に1人が亡くなったされる。そのニュースは欧州諸国に広く知られる。その復興の先頭に立ったのが、後のポンバル侯爵、カルヴァーリョ。復興後の都市が国民に与える影響も考えつつ、耐震性も考慮した建築を進めた。国が栄えたり、衰退する背景も考察されていておもしろい。改革に抵抗する大貴族やイエズス会に対する彼の行いは残虐性きわまるものであり、権力の乱用として有罪とされたが、後に名誉回復となる。2024/01/08

とりもり

7
地震そのものより、厳格なカトリック国家(そして植民地・ブラジルからの膨大な金の輸入に国家財政を依存し切った体質)だったポルトガルにおいて甚大な被害が発生したことが、世界にどのような影響を与えたかの記載がメイン。その過程において、宰相・カルヴァーリョが治安維持、復興対策、そしてそれを妨げる既得権力(イエズス会)の排斥をどう進めたのかが詳述されており、その意味では「カルヴァーリョ物語」といった趣き。やり過ぎもあるが、これだけ果断な人物がいたことは、当時のポルトガルにとってかけがえのない行幸かと。★★★★☆2024/02/21

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