内容説明
射技(しゃぎ)・相撲(すもう)・蹴鞠(けまり)・打毬(だきゅう)など、日本におけるスポーツのルーツといえる営みや行事は、先始・古代までさかのぼり、宮廷行事や武芸へと連なる。海外渡来の文化に改良を加えて伝統文化との融合をはかり、日本独特の文化を生み出してきた歴史を、社会情勢や産業の発達とも絡めて考察。羽つき・踊り念仏・剣術なども取り上げ、近代スポーツの到来までを見通す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
63
興味深い。 大河ドラマでこないだ出てた、平安貴族のポロみたいな競技も解説。 蹴鞠のフォーメーションとかトレーニング法も書き残されてるらしい。 江戸時代の武者修行、他流試合をスポーツ交流、と書いてあったので、え、と思ったら、試合後は酒を酌み交わし和気あいあいだったそうなので、宮本武蔵の時代とは違うんですね。2024/02/27
特盛
16
近代以前の日本のスポーツの歴史。古代伝来の運動競技、貴族文化としての蹴鞠、武士社会の勇壮な精神としての武術、仏教思想と結びつく庶民への浸透。近世は平和で豊かになり大衆でも見る都市型スポーツも広がる。明治以降では西洋化とともに欧米スポーツが輸入され、専門化・数字や記録万能主義・世俗化が進められた。面白かったのは賭博との価値観の分離や、時間に対する意識は明治より前にはなかったこと、見るスポーツとメディア・平和の関係。スポーツの定義は難しいがそれは生きる事そのものの重要な一部であってきたのだろう。2024/03/12
さとうしん
16
相撲、蹴鞠など先史時代から江戸時代までの前近代を中心にスポーツの展開、特に時代が進むにつれて貴族から武家、庶民に広まっていたことをまとめる。古代のスポーツには現代に通じる国際性があったこと、江戸時代には蹴鞠の用具職人が庶民に蹴鞠の手ほどきをして競技人口を増やしたこと、古来の水術が現代のシンクロ競技の素地となった点などが面白い。近現代中心なのかと思いきや、いい意味で期待を裏切ってくれる良書。2023/11/30
沖縄電鉄社長
1
古代から江戸時代にかけて、日本において「スポーツ」がどのようにもたらされ、発展していったかが語られる。近代化以降の日本スポーツに見られる事象(観戦文化、産業)がすでに中世にはひな型ができていたり、蹴鞠の技術書に蹴りの技術やフォーメーションの図解が書かれているのが驚き。2024/02/29