内容説明
現代のハイテクを知り尽くす半導体研究者が、自ら体験・実験して読み解く大好評の「技術史ミステリー」日本編!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
33 kouch
34
日本人の知恵の凄さにずっと感動。一体どうやって学んだのだろう。いや…発見したのだろう。凄いのは現代の科学の目でで分析すると一見理にかなっていないようなものでも、結果、目的を実現しちゃている点。規則的→不規則 堅固→柔軟 強固→(壊れる前提で)再生。分析力というよりも体感力みたいのが優れているのだろうか。アナログな手法がハイテクをも凌駕していく様は少し快感。改めて日本人であることに誇りを感じる。ただ完全に西洋的合理主義に浸っている自分にその体感を取り戻せるのか。そんなことも感じる。2024/08/16
ケイジ
20
縄文時代から奈良時代まで建築物を中心にその技術を探る好著。特に印象的なことは前方後円墳の存在する意味に新しい視点を示してくれた事。2024/03/31
きたぴー
17
想像以上に面白く、かつ驚いた!まさに「古の匠の智慧」凄いです。木・土・鉄など材料の特性を、観察眼と経験から知り尽くし、工夫を積み重ね、伝承し、匠の技に昇華させ磨き上げる。現代のような高度な分析や加工機器がないからこそ、人間がそのもてる能力を最大限発揮する必要があったのだろう。古武術における身体の使い方を知った時も同じことを感じた。経済的利便性は圧倒的に向上しても、木の柱や壁・土の瓦に囲まれた家での暮らしより快適性は損なわれていると実感もする。これらの叡知が失われる前に、最新の技術に上手に融合させて欲しい。2025/01/23
みのくま
6
現代の技術者による古代日本の技術解説。技術者だからこその視点で三内丸山や古墳、五重塔などの木造建築、木材加工、古代瓦、製鉄、そして精銅について書かれており大変興味深い。特に古墳は水田の為の溜池であったという指摘や、木造建築の最盛期は古代であり室町期以降衰退していくという指摘は面白い。室町期から近代の萌芽が生まれるという指摘は網野善彦にも通じる史観であるが、木造建築にも該当している点は慧眼であろう。古代日本は木材の利用に長けており、文字通り生きた木材を生きたまま活用する為千年以上もの歳月を建造物は耐えている2024/09/02
coldsurgeon
6
技術は、人の生活を物質的に、精神的に豊かにしてきた。日本の古代技術、土木、古墳造成、地震で倒れない多重塔、木材加工技術、古代製鉄技術などは、古代の人々の生活を彩っていたようだ。しかし、効率性と経済性の執拗な追求、大量生産に代表される「質より量」という思想が、技術の劣化を招いているのかもしれない。古代技術を振り返って学んでみようかな。2024/07/18