- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
デジタル時代の今、ネット上は過度に加工された顔であふれている。これはテクノロジーの急速な発展がもたらした、新たな現代病なのかもしれない――なぜ、人間は“理想の顔”に取り憑かれるのだろうか。そのカギとなる「脳の働き」に最新科学で迫る。そこから浮かび上がってきたのは、他者と自分をつなぐ上での顔の重要性と、それを支える脳の多様で複雑な機能の存在だった。
鏡に映る「自分の顔」が持つ、新たな意味にあなたは驚くかもしれない。
【本書のおもな内容】
・脳の底に横たわる、巨大な「顔認識ネットワーク」
・加工写真に反応する脳の部位とは
・人が覚えている顔の数は…推定5000人!
・卒業アルバムを懐かしがるのは高度な能力
・偶然できた模様や形が「顔」に見えるふしぎ
・「つらい時ほど、笑顔」は間違い?
・赤ちゃんはサルの顔も見分けられる?
・「真の笑顔」と「偽の笑顔」
・まるで実在する人物。人工知能がつくりだす「存在しない顔」
・顔が果たす「通路」の役割とは
【目次】
第1章 顔を見る脳の仕組み
第2章 自分の顔と出会うとき
第3章 自分の顔に夢中になる脳
第4章 自己と他者をつなぐ顔
第5章 未来社会における顔
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
106
生まれたばかりの新生児の視力は0.01程度であるが、人の顔に自然と目が向いていることが実験により確かめられている。生後5ヶ月になると人種による顔の違いや表情も見分けことができるようになる。鏡による自己認知ができるようになるのは2歳頃であり、社会的な自己意識が形成される素地が生まれる。逆にアルツハイマー認知症になると鏡像自己認知が困難となる。他人の顔に比べて自分の顔をアプリで加工する際に、自分の顔には加工を強めにしてしまうのはドーパミン報酬系から説明可能である。安部公房「他人の顔」からの引用も示唆深い。2024/03/20
よっち
32
ネット上は過度に加工された顔で溢れているデジタル時代の今、なぜ、人間は理想の顔に取り憑かれるのか。鏡に映る自分の顔が持つ新たな意味。「脳の働き」に最新科学で迫ることで浮かび上がってきた、他者と自分を繋ぐ上での顔の重要性と、それを支える脳の多様で複雑な機能の存在。脳の巨大な顔認識ネットワークや、人が覚えている顔の数、偶然できた模様や形が「顔」に見える不思議、真の笑顔と偽の笑顔など、顔を見る脳の仕組みや 自分の顔と出会い夢中になる脳のメカニズム、自己と他者を繋ぐ顔の役割などについてなかなか興味深く読みました。2024/01/22
hitomi
18
読売新聞の書評を読んで。脳についての専門的な説明は斜め読みでしたが、全体的に面白かったです。人間は自分の顔が大好きなことや、顔写真の加工や美容整形にのめり込んでしまう理由、瞬きで会話の間を共有していることなど、勉強になりました。以前「気分は表情に左右されるので、笑顔でいれば楽しくなる」と聞いたことがあったのですが、本書に「落ち込んでいるときに無理やり笑顔をつくると、かえって幸福度が低下するという研究報告がある」と書いてあり驚きました。脳については未解明なことが多いので、今後の研究に期待します。2024/03/29
かめぴ
10
アバターを1分操作しただけで瞬時に、自己評価が変化する、に驚く。プロメテウス効果。本当にレディプレイヤーの世界なんだな…脳の認識って面白い。2024/02/16
やす
6
人が顔をどう認識しているかがよくわかって面白い。 最新の研究成果がたくさん載っていて楽しかった。2024/02/25