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内容説明
十六世紀にはヨーロッパの二流国に過ぎなかったイギリス。それがなぜ世界を動かす帝国になり得たのか? イギリス革命と産業革命による躍進を論拠とする従来の説ではわからなかった「帝国化」と「帝国経営」の実態が、最新の「グローバルヒストリー」研究によって明らかになってきた。「ヒト・モノ・カネ・情報」を巧みに活用し、時代に合わせてしたたかに仕組みを変化させながら世界に君臨してきたイギリス帝国。本書は、その五百年にわたる興隆・繁栄・衰退の歴史をひもとく「新たな世界史」である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
110
イギリスに向かう飛行機の中で読んだ。グローバルヒストリーとしてのイギリスの歴史。従来の西洋中心史観ではなく、世界を全体から見た環境要因や、国ではなく人のネットワークで捉えた歴史の見方はとても新鮮で、わかりやすい。本書が著者の語りからライターが文章化しているので論点とその疑問、そして従来の論説から新しい見方を示しているので理解しやすかった。イギリスの歴史の中で転換点となったのは1688年の名誉革命であり、「長い十八世紀」と呼ばれる名誉革命から1815年のワーテルローの戦い、スナク首相の戦略まで楽しく読めた。2024/02/09
よっち
45
時代に合わせてしたたかに仕組みを変化させて、世界に君臨してきたイギリス帝国。その五百年にわたる興隆・繁栄・衰退の歴史を紐解く一冊。十六世紀には欧州の二流国に過ぎなかったイギリスがなぜ世界を動かす帝国になり得たのか?イギリス革命と産業革命による躍進を論拠とする従来の説に加えて、最新のグローバルヒストリー研究で明らかにされたヒト・モノ・カネ・情報を巧みに活用した帝国化と経営の実態。状況の変化を見極めて必ずしも固執せず、優れた着眼点から新たな活路を見出して、存在感を示し続けたそのしたたかさを垣間見る思いでした。2024/02/27
サアベドラ
33
近世から現代にかけてのイギリスの歴史を近年のグローバルヒストリーの研究を元に整理した新書。2023年刊。著者の専門は大英帝国史。イギリスを大英帝国たらしめたのはライバルのスペインやフランスに先んじて財政=軍事国家体制を整えて両国に勝利したこと、いち早く工業化を達成し膨大な植民地を保持し帝国内外の経済圏を抱え込んだことなどによる。本書で繰り返し描かれるのは、近世以降の戦争は莫大な費用を要し、そこで発生した債務がその後の国策に大きく影を落とすということ。パックス・ブリタニカを享受した大英帝国とて例外ではない。2024/10/04
ta_chanko
17
グローバルヒストリーの視点から見たイギリス帝国の歴史。絶対王政と海賊の時代から、2つの革命を経て立憲君主政と議会政治の国へ。オランダとの競合により商業覇権を握り、フランスとの戦争を経てイングランド銀行を設立。国債発行による資金調達が可能に。その後、産業革命を起こすと「世界の工場」として世界の市場・植民地に製品を輸出する大英帝国に。独・米の追い上げを受けると「世界の銀行」として金融覇権を維持。第二次世界大戦後はアメリカに覇権を譲るも、依然としてイギリス連邦の盟主としての影響力は大きい。EU離脱により何処へ?2024/01/25
shimashimaon
6
イギリス国教会を妖怪という表現で説明(教義はプロテスタント、儀式はカトリック)し、このために大陸の宗教戦争に巻き込まれなかったとする。さらに30年戦争の帰結は教会による内政干渉の禁止=王権優位の確立との説明も興味深いです。『セシルの女王』にはまっているのでエリザベス1世のくだりは尚更で、父王の時代から仕えたグレシャムの「悪貨は良貨を駆逐する」、私掠船の活躍など、どんな風に描くのかな。その他では、パールシー商人、ボーア戦争でのインド兵=有色人種を動員しない件などはより詳しく知りたいと思わせてくれました。2025/02/22