内容説明
☆2023年本屋大賞受賞作 シリーズ最新作☆
第20回本屋大賞受賞作『汝、星のごとく』続編
花火のように煌めいて、
届かぬ星を見上げて、
海のように見守って、
いつでもそこには愛があった。
ああ、そうか。
わたしたちは幸せだった
のかもしれないね。
『汝、星のごとく』で語りきれなかった愛の物語
「春に翔ぶ」--瀬戸内の島で出会った櫂と暁海。二人を支える教師・北原が秘めた過去。彼が病院で話しかけられた教え子の菜々が抱えていた問題とは?
「星を編む」--才能という名の星を輝かせるために、魂を燃やす編集者たちの物語。漫画原作者・作家となった櫂を担当した編集者二人が繋いだもの。
「波を渡る」--花火のように煌めく時間を経て、愛の果てにも暁海の人生は続いていく。『汝、星のごとく』の先に描かれる、繋がる未来と新たな愛の形。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
580
凪良 ゆう、5作目です。第20回本屋大賞受賞作『汝、星のごとく』の続編にて家族恋愛大河小説、感動作でした。但し、数十年を300頁弱で描いているので、薄味です。 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=00003797892023/12/28
パトラッシュ
580
早世した櫂への思いに囚われた関係者の背景が語られる。あれほど北原先生が他人に献身的だったのは、両親の思いを受け継いでいたからだった。櫂を救えなかった編集者は、贖罪のため困難を乗り越えて遺作出版に奔走する。誰よりも深く傷ついた暁海は、血のつながらない北原の娘との生活に癒されていく。“孫”であるセレーナが「わたしのやりたいことをする」と高らかに宣言した時、必死に生きてきた自分たちは幸せだったと暁海が確信する瞬間にはまぶたが熱くなった。あまりに救いのない結末を迎えた前作の後、今ようやく救いがもたらされた思いだ。2023/12/07
hirokun
494
星5 本作品は、『汝、星のごとく』の続編。前作も感動しながら読ませてもらったが、この作品も前作に負けず劣らず感動したし、読後感はなぜかわからないが前作以上に心持ちがが和らいでいる。相変わらず、我々は周りの目、常識を必要以上に意識し、自分の進みたいことを素直に感じ、決定していく感性に乏しいのではないかと思う。結婚、恋愛など個々のケースにどう対応するかについては作品中の登場人物とは違いがあるが、いろんなことに悩み傷つきながらも、何をしたいのかじっくり考え、貫いていく事の大切さを感じさせられた。2023/12/04
のっち♬
493
『汝、星の如く』のサイドストーリー3編。『春に翔ぶ』の古典劇設定は根幹からファンタスティックに浮遊させる。表題作は編み出しに奔走する出版業界への労い話、舞台裏の人も輝いていると思う。「歪こそが愛の本質」の暗示は『波を渡る』へ通じる。連帯において基準や認識的濃淡の発生は不可避。観念ごと追い遣って自立を謳歌する暁海に対して、草介は重みを認識し折り合いをつける現実主義。価値観の新しさや定型外への固執は自由でも個性でもない。相性や分担面で二人は案外古典的、自立や自由の完成系の横には必ず帳尻を合わせる者が生まれる。2023/12/02
bunmei
411
昨年、本屋大賞に輝いた『汝、星のごとく』に登場する人々の過去やそれからを描いたスピンオフ作品。客観的に見れば、若かりし故に引き起こした、愚かで向こう見ずな過ちの数々。しかし、その一つ一つが己を信じて突き進んだ結果でにあり、振り返ってみると愛おしく感じられる決断と行動。尖った岩が急流によって、次第に削られて丸みを帯びていく石のごとく、50年の長きに渡る年月の中で、穏やかな表情へと移り変わって行く人々。しかしその芯には、そこはかとない愛情と絆を感じさせくる、凪良作品らしい、ヒューマンタッチ溢れる完結編である。2024/01/04