内容説明
ポップカルチャーには現代女性の働きかたが反映されている――。異性愛と家父長制を否定した『アナと雪の女王』や、アイデンティティの労働がいかなるものかを示した『魔女の宅急便』、「無賃家事労働」の問題をラブコメにおとしこんだドラマである『逃げるは恥だが役に立つ』など、数々の映画やドラマを縦横無尽、クリアに論じた文芸批評を大幅増補・改訂して文庫化。
目次
はじめに/第一章 『アナと雪の女王』におけるポストフェミニズムと労働/革命的フェミニスト・テクストとしての『アナと雪の女王』/二人のポストフェミニストの肖像/トップ・ガールズとブリジットたちの和解?/シェリル・サンドバーグは存在しない──グローバル資本主義とその本源的蓄積/労働なき世界と「愛」の共同体/〔補論〕日本のポストフェミニズムと『アナと雪の女王2』/第二章 無縁な者たちの共同体──『おおかみこどもの雨と雪』と貧困の隠蔽/承認と再分配のジレンマ/『おおかみこどもの雨と雪』と貧困の再生産/ポスト・ビルドゥングスロマンと成長物語の変遷/『ハリー・ポッター』、『わたしを離さないで』と多文化主義/無縁な者たちの共同体/コーダ──現代版『ライ麦畑でつかまえて』としての『僕だけがいない街』/〔補論〕インターセクショナリティと究極の包摂社会/第三章 『千と千尋の神隠し』は第三波フェミニズムの夢を見たか?──アイデンティティの労働からケア労働へ/フェイスブックという労働/『魔女の宅急便』のポストフェミニズム/『千と千尋の神隠し』は第三波フェミニスト・テクストか?/『逃げるは恥だが役に立つ』?──依存労働の有償化、特区、家事の外注化/〔補論〕亡霊としての第三波フェミニズムとケア/第四章 母のいないシャカイのユートピア──『新世紀エヴァンゲリオン』から『インターステラー』へ/スーパー家政婦、あらわる/『インターステラー』の母はなぜすでに死んでいるのか?/『インターステラー』の元ネタは『コンタクト』なのか?/『コンタクト』と新自由主義のシャカイ/セカイ系としての『インターステラー』/『エヴァ』とナウシカのポストフェミニズム/コーダ1 AIの文学史の可能性──『ひるね姫』と『エクス・マキナ』/コーダ2 矛盾の回帰?──『ゴーン・ガール』と『WOMBS』/〔補論〕シャカイから遠く離れて/第五章 『かぐや姫の物語』、第二の自然、「生きねば」の新自由主義/「生きろ/生きねば」の新自由主義/『風の谷のナウシカ』における技術と自然の脱構築/技術と自然の脱構築と労働の隠蔽/『風の谷のナウシカ』、『寄港地のない船』、(ポスト)冷戦の物語/罪なき罰と箱庭/〔補論〕ナウシカの時代と人新世/終章 ポスト新自由主義へ/没落系ポストフェミニストたち/主婦が勝ち組?──ハウスワイフ2・0から『逃げ恥』へ/セレブ主婦の蜃気楼/貧困女子の奮起/エイミーたちの願いとジンジャーたちの連帯/おわりに/文庫版へのあとがき/参考文献
感想・レビュー
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ばんだねいっぺい
阿部義彦
Decoy
Mits
せんじつ