創元推理文庫<br> 古書の来歴

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創元推理文庫
古書の来歴

  • ISBN:9784488216078

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内容説明

伝説の古書『サラエボ・ハガダー』が発見された――深夜のその電話が、数世紀を遡る謎解きの始まりだった。容赦ない焚書と戦火の時代にありながら、この本は誰に読まれ、守られ、現代まで生き延びてきたのか? 調査を依頼された古書鑑定家のハンナは、ページに挟まった蝶の羽や、羊皮紙に染み込んだワインの一滴を手がかりとして、美しい古書の歩んできた歴史をひも解いてゆく。その旅路には、激動の世を懸命に生きる人々の姿があった――科学調査に基づく謎解きの妙と、哀惜に満ちた人間ドラマが絡み合う、第2回翻訳ミステリー大賞受賞作!/解説=千街晶之

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

たま

66
読書会のために再読。初読は2010年、その後版元のランダムハウスジャパンから版権が移ったようで、昨年創元推理文庫から文庫本が出た。サラエボ・ハガダーと呼ばれる実在のユダヤ教祈祷書を題材に古書修復専門家のハンナが祈祷書の来歴を探る。ハンナが調査で世界を飛び回る時間軸に沿ったパートと、古書の来歴が時間を遡って語られるパートから成る複雑な構成。近年のサラエボ攻囲と第2次大戦中のサラエボで危険を冒してハガダーを守ったのはイスラム教徒の学芸員たちである。オスマン帝国の懐の深さとその伝統を思う。→ 2024/02/24

goro@the_booby

59
翻訳ミステリー大賞受賞作なので面白そうと読み始めたが年に何冊か出会える事があるとても芳醇な読書体験が出来る一冊でした。中世に作られた「サラエボ・ハガター」が戦火を逃れ発見され保存修復から見つかった手がかりを元にその時代にどのように生き残ってきたかまさに来歴を巡るミステリーは波乱万丈であり人は残酷でありながらも愛ある人でもあると様々な人を描いて引き込まれました。本が好きで良かったと思える物語でした。そしてこれが実在の書であることを知れて一層考え深い。作家の想像力、創造力に脱帽です。2025/01/08

ま~くん

35
絶対に自分の嗜好の対象外だと思ったが、書店員さんの一押しというポップに釣られ手に取った。500年前に書かれたという伝説のサラエボ・ハガダーという古書が発見された。物語は現代迄焚書や戦火をくぐり抜けてきた古書の来歴を時代を遡り描写していく。蝶の羽、ワインの染み、塩の結晶、白い動物の毛等、100年単位の時代の移り変わりの中で謎解きが行われていく。読者はストーリーに没頭させられる。全てに意外な真実が隠され、一種の歴史ミステリーと言っても過言ではない。しかも解説で知ったが全くのフィクションではないという。激推薦。2024/07/16

geshi

25
ハガタ―から得られた手掛かりを元に古書の来歴を紐解いていく知的好奇心を期待していたが、それは話のブリッジで、古書に関わった人々のドラマが連作短編式に語られる。それぞれの時代で人々が受ける苦難の歴史は痛々しく刺さり、書を焼くことは人を焼くことに繋がるという言葉を改めて認識させられる。そんな差別や苦境の中でも守ろうとしたものの尊さが重く、ハガタ―が現代まで残っている意義を読者が自分のものとして実感できる。しかし1998年のハンナが合わず、最後の展開も強引な付け足しに見えてしまった。2024/02/04

ヘジン

22
1400年代に作られた美しく見事な幻の古書が発見され、その来歴を現代の科学捜査の手法で解明する一方、各時代に本に関わりを持った市井の人たちの歴史に翻弄される人生が描かれる大河小説。フィクションだが事実も含まれている。めちゃくちゃ面白かった。自分の暫定今年のベストブックを更新。古書鑑定家ハンナ自身の人生も興味深い。話のまとめ方も見事。今現在起きている戦争にも重ねて思う部分がある。民族や宗教が違っても人は平和的に暮らせる知恵を出せるはずなのに。2024/10/03

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