内容説明
『ジゼル』や『白鳥の湖』の華麗な世界の根源には何があるのでしょうか? バレエが誕生してから現在まで、その歴史を振り返りながら、バレエがどれほど深い奥行きを持っているのか易しく語りかけます。バレエ入門の決定版!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
41
神の前で人の前で太古から人間は踊ってきた。その舞踏の歴史から始まって、バレエの発展と深化を概観することによりバレエの精神的な部分を説明する本。バレエとは、『ジゼル』などに代表される「白いバレエ」の登場で、生と死を結びつけるものとしての役割を回復し深化させ、いつか死に直面する、その理不尽を含めて生きているのだと感じさせる瞬間を得ることができるもの。そんなことが書かれている本書は、バレエについての本ではあるのですが、同時にどうして人は本を読むのか、芸術に触れるのか、そんなことを理解させてくれたように思います。2018/05/09
Hatann
8
バレエを鑑賞するひとたちのために、バレエの成り立ちの経緯と諸芸術との関係について述べる。舞踏は、もっとも古い芸術であり、言葉(舌の舞踏)とともに生まれた。人間は、死を意識することで無価値であることに認識し、なんでも模倣することができるという自由を得た。バレエは、人間にとって決定的に重要なものが、身体という次元であることを問う。コリオグラファーに加え、ダンサーの魅力に支えられるバレエでは、過ぎ行く瞬間のすべてが作品であり、人間の生命そのものが、やがて去りゆくにせよ、素晴らしい作品である。鑑賞したくなる。2023/05/27
nine5
2
良書。バレエのみならず、西洋の思想、美術、音楽の基礎的な歴史の復習にも有用でした(とはいえ、とりわけ音楽に関してはそもそもの知識がないので、要復習)。舞台芸術は総合芸術であると再認。筆者は生の重要性を説いているが、すなわちこの著書に挙げられている作品は二度とみることができないということであり、若干わびしくもあり。2013/08/17
viola
2
ちょっと期待していたものと全く違いました・・・・。読んでバレエ(を観るの)が楽しくなる、というものではないなぁ。入門というか、バレエの歴史が中心。口調は優しいのですが、書いてあることが何とも読みにくい。中身がやや浅いように感じてしまいました。2012/05/14
doji
1
まったくの門外漢だったのだけれど、著者の熱が伝わる文章にあっという間に読み終えた。あの世とこの世の交わりを描くものとしてのバレエ、という記述にとても興味をもった。さらっとではあるのに的確な歴史の概観がとてもよい。2016/11/25