岩波新書<br> シンデレラはどこへ行ったのか - 少女小説と『ジェイン・エア』

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岩波新書
シンデレラはどこへ行ったのか - 少女小説と『ジェイン・エア』

  • 著者名:廣野由美子
  • 価格 ¥1,034(本体¥940)
  • 岩波書店(2023/10発売)
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  • ポイント 270pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004319894

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内容説明

『赤毛のアン』『若草物語』『リンバロストの乙女』『あしながおじさん』などの少女小説に描かれる,強く生きる女性主人公の物語はいつ,どのように生まれ,広まっていったのか.英国の古典的名作『ジェイン・エア』が与えた衝撃と,そこから始まる脱シンデレラ物語の作品群を読み解き,現代における物語の意味を問う.

目次

序 『ジェイン・エア』から少女小説へ
――「シンデレラ・コンプレックス」と「ジェイン・エア・シンドローム」
第1章 脱シンデレラ物語の原型
――シャーロット・ブロンテ『ジェイン・エア』
1 女性像の変転――『ジェイン・エア』以前の文学を見る
2 不遇な幼少時代を送るヒロインの登場
3 学校生活とキャリア
4 男性パートナーとの対等な関係
第2章 アメリカへ渡った「ジェイン・エア」の娘たち
――『若草物語』『リンバロストの乙女』『あしながおじさん』
1 『ジェイン・エア』の物語とアメリカの女性作家たち
2 女らしさへの問い――ルイーザ・メイ・オルコット『若草物語』
3 逆境を乗り越える――ジーン・ストラットン・ポーター『リンバロストの乙女』
4 自立への道――ジーン・ウェブスター『あしながおじさん』
第3章 カナダで誕生した不滅の少女小説
――ルーシー・モード・モンゴメリ『赤毛のアン』
1 自分らしさと強さの肯定――『ジェイン・エア』からの飛躍
2 自力で居場所を獲得する物語
3 能力でキャリアを開く
4 敵対から友愛へ
第4章 イギリスでの変転とその後の「ジェイン・エア」
――ルーマー・ゴッデン『木曜日の子どもたち』
1 「シンデレラ」のゆくえ――『ジェイン・エア』からの変容
2 母としての「ジェイン・エア」
3 シンデレラ少年の物語
4 「意地悪な姉」の再生の物語
終 章 変わりゆく物語
――「ジェイン・エア・シンドローム」のゆくえ
1 変貌する「シンデレラ物語」――ディズニー映画と現代
2 変わる読者の意識と時代――新しい物語への展望
あとがき
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

はる

63
「シンデレラ」では男性に依存的だった女性像。だが「ジェイン・エア」が出版されると、脱シンデレラともいえる強い女性像は世間に衝撃を与える。筆者はこの「ジェイン・エア」がその後に描かれた「小公女」「赤毛のアン」「秘密の花園」「あしながおじさん」「若草物語」などの少女小説に多大な影響を与えたとしています。指摘される類似点については納得しかねる部分もあったけれど興味深い内容。それぞれのあらすじを辿りながらの解説なのですが、どれもあらすじだけで凄く面白いんですよね。それが楽しかったです。2023/11/23

ころこ

45
フェミニズムは外からの改革を主張するのに対して、重要なのは女性が最終的に内側から自らを変えていくことだ。男女平等が唱えられたとしても、女性自身の中に自立を阻む内的原因があるのではないかと著者は問題を投げ掛ける。王子が現れてヒロインの幸せな結婚で終わるというシンデレラ型に対して、『ジェイン・エア』では①不遇な幼少期②不美人な容貌③逆境から自力で居場所を獲得する④男性パートナーとの対等な関係という別の生き方の型がみえてくる。この『ジェイン・エア』の物語は当初イギリスではなく、アメリカで受容された。『若草物語』2023/11/12

ラウリスタ~

16
シンデレラのような王子様に選ばれることだけを受け身で待ち続けるような旧弊なヒロイン像は、昔のディズニー映画には多かったが近年は批判され、より主体的な女性に変わりつつある。シンデレラに変わる主体的に未来を切り開く女性像の原型としてシャーロット・ブロンテの『ジェイン・エア』に注目する。イギリスではあまり評価されず、むしろアメリカでその影響が開花する(赤毛のアン)。美人でも、従順でもない女性が、不正義に憤り、自由を獲得していく。最終のディズニー分析などは特に興味深く読む人が多いと思う。英米の違いが面白い。2023/12/14

qwer0987

14
男を待ち幸福を願うのが女性の基本だったシンデレラ・コンプレックスの時代にあって、『ジェイン・エア』は自分で決断し経済的に自立した女性が描かれている。そんな女性像を出発点とするジェイン・エアのフォロワーを著者はジェイン・エア・シンドロームと名づけ考察している。本国のイギリスではなくアメリカに現れているのが興味深く、『若草物語』『リンバトロスの乙女』『あしながおじさん』『赤毛のアン』『木曜日の子どもたち』をそういう視点で読み解く様は目を引いた。軽く扱われがちな児童小説の再評価の面もあり文学の幅広さを再確認した2023/11/26

ムーミン2号

13
著者の著作はワタシには合わないようだ。興味深いタイトルに惹かれながらも(過去に前述のようなこともあったので)若干の不安も抱えながら読んでみたけど、やっぱり合わない。いや、内容として『ジェイン・エア』の系譜を『赤毛のアン』(L.M.モンゴメリ(1908))や『リンバロストの乙女』(G.S.ポーター(1909))、あるいは『若草物語』や『あしながおじさん』も引き継いでいるということはよくわかる。面白い視点だなぁ、とも思うが、何となく肌に合わない・・・もちろん、著者のせいではない。ただ、何となくね・・・。2023/11/19

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