内容説明
19世紀にキリスト教の自然観の枠組から離れて誕生した、科学者という職能。危険な一面を持つ、閉ざされた研究集団の歴史と現実、その行動規範とは? 核兵器の開発、遺伝子組み替えの技術、環境問題――科学者は研究に伴う責任をどう考えるのか。自然と人間の相互作用を読みこむ新たな科学観が問われる、転換期の科学者像を探る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
umeko
13
これから先も議論され続けなければならない課題。科学の進歩をニュースで触れながら、何かモヤモヤを感じることがあっただけに、考えさせらる内容だった。2023/12/04
まるよし
7
この本が25年前に出版されていたことに驚く。不勉強ながら2023年に読了。やっと村上氏の主張が社会的にも浸透してきたと思う。理念の浸透には時間がかかるもの。真理の追求には人文科学的側面も必要。医学部で一般教養の削減が甚だしいが、これは著者の主張と逆行する。やはり他国のように4大卒後に医学部に行くシステムの方が優れているように思える。2023/09/09
富士さん
6
科学教の現実を暴き出すロックな本、再読。ちょっと古いですが、変わってないどころか本書の指摘がより正しくなっている感があります。何だか分からないけど偉そうな専門用語とすごそうな賞で進行するオカルト化。空気を読み合い、読ませ合ってポストを予算を分配するムラ政治の実情。何よりロックなのは、経験に合った理論が生まれるというタテマエを鼻で笑って、理論に合った経験が生まれると言ってのけてしまうことです。村上先生の業績と科学史の常識を踏まえればこのような議論は当然ですが、ここまではっきり言ってしまうのが素敵な本です。2020/04/21
やまけん
2
5章ぐらいまではよくある議論、6章からが本番という印象を受けた。しかしこの本はそんなに新しくはないので、人によっては全部がよくある議論のように思われるかもしれない。どちらにせよ「科学者の責任」についてコンパクトにまとまった本だと思う。2020/09/11
海
1
正直にいえば、当たり前ではないかという感想だけになってしまう。理系ではない人は新たな発見が得られるのかもしれない。2024/10/28