内容説明
笹本遼賀、33歳。都内のレストランで働きながら、人並みに、真面目に生きてきた。だが、胃の不調で受けた検査は予想外の結果――突然のがんだった。どうして自分が? 絶望に襲われた時、弟の恭平から荷物が届く。それは遼賀が15歳の頃、故郷の山で遭難した時に履いていたオレンジ色の登山靴で……。「おれはまだ生きたい」、過酷な現実を突きつけられても懸命に前を向く遼賀と、彼を支える家族を通して誠実に“生”と向き合った感動長編!――「弱音を吐かない人は、いつだってたったひとりで闘っている」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジェンダー
167
30代で癌とわかってなくなるまでの期間の主人公の病状の経過や心境。それを知った兄弟や親が亡くなるまてどう感じ過ごしたか。その後主人公がどう生きるべきかという葛藤を含めて描かれてるけど自分も主人公と同じ30代だからこそ自分だったらどう生きていくだろうかって思うと最後に出てくる「頑張り過ぎたらダメだよ」っていう言葉はその線引きをどう判断するべきかとかいろいろ考えさせられました!本音が言える人がいて家族との関係の良好さは特に大事な事だと感じました!健康を第一に考えないと行けないと改めて感じさせられました2024/03/04
ぼっちゃん
65
文庫で再読。33歳の若さでがんになる闘病ものなので読んでいて辛い部分もあるが、闘病の中どう生きるかが描かれていて、自分も丁寧に生きなければと思える作品だった。2024/01/13
よっち
44
三十三歳の遼賀が受けた、あまりにも早い胃癌宣告。ショックを隠せない彼の元に、郷里の岡山にいる弟の恭平からかつて山で遭難した時に履いていたオレンジ色の登山靴が届く家族の物語。東京でレストラン店長をしていた遼賀、地元岡山で体育教師をする弟・恭平、そして通院していた病院で看護師として再会した矢田泉。兄弟には一緒に遭難を乗り越えた揺るぎない絆があって、矢田とは高校時代共に過ごしたかけがえのない思い出があって、遼賀を慕う彼らに支えられ、覚悟を決めて最後まで精一杯やりきったその結末には心揺さぶられるものがありました。2023/08/21
朗読者
30
家族愛。力強く真っ直ぐに生きる人たちを描いた作品。特別なことは何も起こらないけど、真っ直ぐ生きることの尊さを藤岡さんはいつも伝えてくれる。さて、この名作を誰におすすめしようかな♪2024/01/09
newman
29
割りとありきたりな話なのですが、周辺の出来事やら主人公が高校生だった頃のことをうまく使って話に厚みが出ているように思いました。そう、小説によく使われる題材でも違って読めるんですね。熱心に読んでしまいました。実家が岡山という設定だったので、大学の時の同級生を思い出したりしました。こんなふうに方言が出ていなかったのは無理していたのかなということまで。看護師の矢田泉さんという女性が美人ではないという設定も気に入りました。そうそうタイトルが平凡なのでもっといいタイトルにならないかと思って読んでいました。 2023/12/05