間合い 生態学的現象学の探究(知の生態学の冒険J・J・ギブソンの継承2)

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間合い 生態学的現象学の探究(知の生態学の冒険J・J・ギブソンの継承2)

  • 著者名:河野哲也【著】
  • 価格 ¥3,520(本体¥3,200)
  • 東京大学出版会(2023/10発売)
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  • ISBN:9784130151825

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内容説明

「間合いの本質とは、このリズムにこそある」

生態学的現象学の視点から明らかになる
間(ま、あいだ、あわい)や間合いのダイナミズム


日本の伝統的な芸術や芸能、武道の分野のなかで重要な役割を担い、日本の文化全般にとって美学的で哲学的な原理として長く論じられてきた間(ま、あいだ、あわい)や間合いについて生態学的現象学の視点からそのダイナミズムを明らかにする。


【主要目次】
序――間と間合いとは何か
1 間の日本文化、しかし普遍的であること
2 ま・あいだ・あわい・はざまの概念
3 間合いの概念
4 本書の目的と展開

第1章 生態学的現象学とは何か
1 現象学の目的
2 志向性とアフォーダンス
3 社会的アフォーダンスと間合い
4 促進行為場と充たされざる意味
5 共鳴(レゾナンス)としての知覚

第2章 技と型、その音楽的本質
1 技術の二つの実現――身体とテクノロジー
2 三枝博音の技術論
3 源了圓の型の理論
4 型はどれほど重要なのか――剣道における型
5 能楽における型
6 宇宙の流れ、バシュラールの持続批判

第3章 間合いとリズム
1 世阿弥における間=「せぬ隙」
2 能の時間性
3 間合いと臨床心理
4 間合いと活人剣(かつにんけん)
5 剣のリズム
6 拍子とリズムの哲学

第4章 花と離見の見
1 「秘するが花」
2 離見の見とは何か
3 「不及目の身所」を見る
4 役地と離見の見の同型性
5 呪言と幽霊の主体化
6 バフチンの腹話性とシテ地
7 再び、離見の見とは何か
8 物乞いとしての無心

第5章 流体としての身体
1 身体のリズム、宇宙のリズム
2 リズムは意志の自由に反するか
3 環境に浸る
4 植物の魂
5 草木成仏
6 海、宇宙の体液

第6章 間合いとアフォーダンス
1 庭園を歩く
2 環境と自己についての気象学的・海洋物理学的アプローチ
3 二人称の根源性
4 促進行為場としての間合い



【シリーズ刊行にあたって】
本シリーズは、ジェームズ・ジェローム・ギブソン( James Jerome Gibson, 1904-1979)によって創始された生態心理学・生態学的アプローチにおける重要なアイデアや概念――アフォーダンス、生態学的情報、情報に基づく直接知覚説、知覚システム、視覚性運動制御、知覚行為循環、探索的活動と遂行的活動、生態学的実在論、環境の改変と構造化、促進行為場、協調など――を受け継いだ、さまざまな分野の日本の研究者が、自分の分野の最先端の研究を一種の「エコロジー」として捉え直し、それを「知の生態学」というスローガンのもとで世に問おうとするものである。

生態学的アプローチのラディカリズムとは、真の意味で行為者の観点から世界と向かい合うことにある。それは、自らの立場を括弧に入れて世界を分析する専門家の観点を特権視するのではなく、日々の生活を送る普通の人々の観点、さらには特定の事象に関わる当事者の観点から、自分(たち)と環境との関係を捉え直し、環境を変え、そして自らを変えていくことを目指す科学である。

本シリーズでは、こうした生態学的な知の発想のもと、生態学的アプローチの諸概念を用いながら、執筆者が専門とするそれぞれの分野を再記述し、そこで浮かび上がる、人間の生の模様を各テーマのもとで提示し、望ましい生の形成を展望することを目的としている。

執筆者たちの専門分野はきわめて多様である。生態学的アプローチのラディカリズムと醍醐味をより広くより深くより多くの人々に共有してもらえるかどうか――本シリーズでまさに「知の生態学」の真意を試してみたい。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

shin_ash

5
間合いについての話である。このシリーズにしてはあまりギブソンを持ち出さずに、主に能と武芸を引き合いに出して「間」や「間合い」を論じている。テーマも抽象的である為か抽象的な表現が多く難解な内容であった。ただし、背景には生態学的な前提があるのだと仮定すると多少は理解しやすくなる気がする。自己とその周囲の世界と考えればその間はギブソン的には媒質なのだろうけど、個人としては間であって、普段はその存在を気にしない。これを能なりで説明する。自己(一人称)と世界(三人称)となんとなく捉えていたが、間を考える上で相手(ニ2023/05/14

人生ゴルディアス

1
哲学のつもりかもしれんけど文学なんよ。言わんとすることはなんとなくわかるが、はたと立ち止まると……。あと、なんでこの手の人って宇宙とか霊的とか平気で持ち出すんだろ。「水が宇宙の根源かもしれない」「卵が生命の本質なのだろう」とか完全にちいかわでして。はあっ!?の一言しかない。生態学的現象学とやらも、この人の言う生態学は生物学におけるそれではなく、環境と相互作用する自己程度の意味なので、現象学と意味重複してる気がするんですよね。というか使用する言葉の意味にもっと責任持ってほしい。『知の欺瞞』を読め。2023/10/22

1
J.J.ギブソンのシリーズ、その2。生態学的心理学という考えの包括性を改めて思い知らされる。本書は、人と人との見えない「間合い」について。人と人との間にあるのは、ただのすかすかの空気ではなくて、満たされた水の中にいるみたいに、一方が動けばそれが相手にも伝わってしまうような、相関性を持ったものであるという認識。それが剣道の「後の先」の考えでわかりやすく書かれていた。2022/09/25

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