内容説明
宋代、瑞州の新任知事・包希仁は、二十代で科挙に合格した秀才ながら、どこか抜けた青年。その資質を疑問視する世話係・孫懐徳であったが、州内で起きた「生きた牛の舌が切り取られる」事件をきっかけに――(「雪冤記」)。清廉潔白、裁きは公平、晴れ渡った空の如し。中華小説の名手・井上祐美子が、中国史上屈指の人気を誇る名判官「包青天」の活躍を描く中華ミステリ短篇集。待望の文庫化!
◆目次
・雪冤記
・赤心
・紅恋記
・黒白
・青天記
・文庫あとがき
※本書収録の「黒白」は、『C★NOVELS Mini - 黒白 - 包青天事件録』に加筆修正を加えたものです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coldsurgeon
7
清廉潔白、裁きは公平と、包青天と謳われた宋代の名判官を主人公としたミステリー。歴史ファンタジーかもしれないが。治世下で起きる事件を、真面目に解き明かそうとする姿が少しおかしいが、清廉さはとても好ましい。庶民のために語り継がれた中国の物語が、キャラクターを変えて、エンターテインメントとなった。2023/12/20
sena
5
初読みの作家さん。シリーズ番外編のような感じ?桃花源奇譚も読んでみよう。2023/11/21
kinta
4
何故か中国史系の本が続いているが、久しぶりに井上さんの本を読んだ。しかも包青天じゃないですか。日本人も大好きな黄門さま状態な英雄ですww。本の中の包さんは粗忽もので自分のことが出来ない、ある種の欠落者として描かれる。ただホームズなんかと違うのは、自分がどこまでできてどこまでできないかを自認しており、その上で韜晦している。ワトソン役としての公孫策が一身に苦労を背負う。なかなか名コンビ。是非続きも読みたいのですが…2023/10/04
ほげっひ
1
文庫版もゲット。久しぶりの包拯さん、やっぱりホッとするなぁ。ドラマや映画で目にする「包青天」とはちょっと違うけど、この四方に目配りの効いた包拯裁き、キャラクターも相まってもっと続きが読みたい物語の筆頭です。2023/11/22
gauche
1
2014年刊単行本の文庫化。桃花源奇譚の文曲星が事件を解決していく。他の登場人物との絡みも見たいし続編書いてくれないかな。でもこの方10年以上新作出てないんだよな・・。2023/09/26